学生時代から探偵小説が好きでよく読んでいたので、私立探偵を何人か取材し、尾行や証拠集めの苦労などを聞いたこともあります。私の視点は常に、「ビジネスとしてどう成り立っているのか」という切り口でした。その興味が高じて、米国のPR会社に転職したのです。

「comfort zoneを抜け出せ」

もともとビジネスに関心があったのですね。また、番組テキストの「はじめに」という巻頭言は、いつも学習者が大変励みになる内容が書かれています。恐らく20年以上前の巻頭言ですが、「comfort zone(快感帯、安全地帯)を抜け出さなければ成長できない」という内容が印象に残っています。単に「英語」だけではなく、取り上げる内容が多岐にわたっています。

杉田:「人はだれしも、快感を感じる安全な空間にいるかぎり向上はありません。例えば、初めて自転車に乗れた時。倒れて腕をすりむいたかもしれない。でもそのことによって、自分の行動範囲は広がったのです。初めて泳げた時、ピアノが弾けた時、受験をした時、就職した時、転職した時。いずれもcomfort zoneを出た時です」といったようなことを書いた覚えがあります。

 日本GEで副社長を務めていた時にも、米国でのいろいろな研修に出させてもらいました。3メートルの垂直の壁をチーム全員で力を合わせて乗り越えたり、騎馬戦のようなものをしたりといった野外訓練も経験しました。私は日本GEでは人事と広報を担当したのですが、どちらも人間関係を構築するための仕事です。

 どちらもコミュニケーションと関係があります。人間関係においてすべてはコミュニケーション次第ですから。

 1980年代まだ私が40代のころ、転職すべきかどうか悩んでいた時に、自己啓発セミナーにもいろいろ参加しました。箱根の山奥の旅館に3泊して、ひたすら自分の将来のビジョンを考える合宿型のセミナーなどにも参加しました。そのほか、地獄の特訓型のものも体験しましたね(笑)。

将来のビジョンを固めるために30代から徹底的にいろいろ体験され、そうした多くのことを体得したわけですね。それが、巻頭言やテキストに生きている。

杉田:色々なことに好奇心を持って飛び込んでいったことが、引き出しを増やすことにつながってよかったです。とはいえ世の中は常に動いているので、引き出しがすぐ空いてくるから、テキストのネタ探しはいつも大変なのですが(苦笑)。とはいえいろいろなものに好奇心を持ってたくさん情報を集めていると、トレンドとして繰り返し出てくるテーマが大体読めてくるようになります。そうした題材をテーマに設定して、テキストの内容を構成しています。

杉田さんが構成されるコンテンツの質の高さには長年、定評があります。番組から影響を受けたリスナーは多いでしょう。

杉田:いろいろなお便りをいただきましたが、印象的だった1人が、ある女性です。手紙に「番組を聞いていなかったら、この子が生まれることはなかったかもしれません」と書いてあり写真も付けられていました。