今年も早3月。新年度に向けて、「来年こそは新しいことを始めたい」と密かに決意している読者もいるかもしれない。グローバル化が進み、小学校でも英語教育が導入されようとしている昨今、今こそ英語を身につけたいという人も多いだろう。記者からキャリアをスタートして日本GEの副社長も務め、NHKラジオで約30年間「実践ビジネス英語(旧:「やさしいビジネス英語」)」の講師を続けてきた杉田敏氏に、外国語を習得することの意義などについて聞いた。

(聞き手は広野彩子)

杉田さんは1987年にNHKラジオで夜の英語学習プログラム「やさしいビジネス英語」をスタートし、番組名こそ今は「実践ビジネス英語」と変わりましたが、既に30年近くになります。私も20代のころ大変お世話になりました。最初はどのようなきっかけで講師になったのですか。

<b>杉田敏(すぎた・さとし)氏</b><br/>NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師<br/>プラップジャパン会長。1987年からNHKラジオの「ビジネス英語」講師。1966年青山学院大学経済学部卒業後、「朝日イブニングニュース」の記者となる。72年にオハイオ州立大学で修士号(ジャーナリズム)を取得。「シンシナティ・ポスト」経済記者から73年、PR会社バーソン・マーステラの米ニューヨーク本社に入社、85年に日本ゼネラルエレクトリック(GE)に取締役副社長(人事・広報担当)として移籍。87年からバーソン・マーステラ(ジャパン)社長、電通バーソン・マーステラ取締役執行副社長を歴任。2015年から現職。上智大学講師(「企業広報論」)、文部科学省「英語指導方法改善の推進に関する懇談会」委員などを歴任。(写真は村田和聡、以下同)
杉田敏(すぎた・さとし)氏
NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師
プラップジャパン会長。1987年からNHKラジオの「ビジネス英語」講師。1966年青山学院大学経済学部卒業後、「朝日イブニングニュース」の記者となる。72年にオハイオ州立大学で修士号(ジャーナリズム)を取得。「シンシナティ・ポスト」経済記者から73年、PR会社バーソン・マーステラの米ニューヨーク本社に入社、85年に日本ゼネラルエレクトリック(GE)に取締役副社長(人事・広報担当)として移籍。87年からバーソン・マーステラ(ジャパン)社長、電通バーソン・マーステラ取締役執行副社長を歴任。2015年から現職。上智大学講師(「企業広報論」)、文部科学省「英語指導方法改善の推進に関する懇談会」委員などを歴任。(写真は村田和聡、以下同)

杉田敏氏(以下、杉田):放送を始める数年前に、旺文社から『戦略的ビジネス英会話』という本を出版しました。NHKで、ビジネス英語の講座を考えている方がいて、当時はそうした本も少なかったので目に留まったのでしょうね、「6カ月間、ビジネス英語の講師をやってほしい」と声がかかりました。

 半年間だけで、1年の残りの半年は再放送とのお話でして。私は英字新聞の記者でしたので、スクリプトも翻訳も全部自分で書きました。タネ本に『戦略的ビジネス英会話』がありましたので、さほど大変ではなかったのです。

 半年ぐらいならできると思って始めたら好評をいただき、翌年も、まだ本のコンテンツで使わずにいたネタがあったので続けたら、またその翌年も…、ということになり、昨年、NHKの語学番組としては最長寿番組になりました。当初は「やさしいビジネス英語」という番組名でした。始めた時は、まさかこんなに長く続くとは思いませんでしたね。

途中で降板された時期もありましたが、また再び担当されたわけですね。学生時代、テキストのビニェット(会話)の内容が最先端の国際ビジネストレンドを紹介するもので、全然「やさしく」はありませんでしたが大変楽しく勉強できました。杉田さんご自身は帰国子女というわけでもないですが、どう英語を身に付けたのですか。

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