日本で「マイカーブーム」が起こったのは高度経済成長の真っ只中の1960年代。トヨタ自動車の「カローラ」や日産自動車の「サニー」などの大衆車が次々に販売され、それまで憧れの存在だったクルマの一般家庭への普及が一気に進んだ。

 それから50年が過ぎ、クルマの使い方が大きく変わりつつある。「若者のクルマ離れ」が進む一方で、カーシェアリングや配車サービス「Uber(ウーバー)」などの新たなビジネスが成長している。そんな中、中古車売買の最大手、ガリバーインターナショナルは月額定額で、好きな時にクルマを乗り換えられる新たなサービスを開始する。実現すれば「世界初」とも言える新サービスの中身や狙いを、同社で新規事業を担当する北島昇氏に聞いた。

(聞き手は 熊野 信一郎)

まず単刀直入に聞きます。新たに立ち上げるサービスはどのようなものですか。

北島:いわゆる「サブスクリプション型」と呼ばれる、会員制のサービスを想定しています。月々の料金は定額にして、いつでも好きな時に好きなクルマに乗り換えることが可能になるというものです。

 同じようなサービスはまだ世界のどこにも存在しないのではないでしょうか。アマゾン・ドット・コムでは有料の「プライム会員」は動画や音楽を追加料金なしに無制限に楽しむことができますが、それに近いイメージです。ファッションの世界でも、毎月、洋服が送られてくる「エアークローゼット」のような月額制のサービスが出てきています。

 ガリバーが買い取った中古車がクルマの調達先としては有力なルートになりますが、それに限らず、新車も含めて別のルートからも調達するつもりです。今年夏頃までをメドに、まずベータ版を東名阪などの主要都市部に限定してリリースする予定です。それで順調に行けば、年内にも本格展開を始めたいと考えています。

北島昇(きたじま・のぼる)氏
2007年にガリバーインターナショナル入社。経営企画、マーケティング改革、店舗フォーマット開発、事業投資 などの幅広い業務に従事。現在、社長室/新規事業開発室室長としてコネクティッドカー事業、C2C事業、 サブスクリプション事業の立ち上げやアクセラレータープログラムの運営を手がけている。

徐々に利用者が増えている「カーシェアリング」とはどこが違うのでしょうか。

北島:新サービスでは会員の手元に必ずクルマがあるという状態になるので、スポット需要を狙ったカーシェアリングやレンタカーとは競合しないでしょう。

 例えば、週末にキャンプに行くから大型のSUV(多目的スポーツ車)にするといった具合に、その時の気分や目的に合わせて「乗り換える」体験をもっとカジュアルなものとして提案したいんですね。

 もちろん、実際に会員がどのような頻度で乗り換え、どんなクルマを希望するのかなどサービスを開始してみないと分からないことが多いのも事実です。実際にサービスを開始して会員数が増えてくれば、クルマの選び方や頻度などのデータが蓄積され、それを活用することも可能になります。例えば、新車のプロモーションの場として活用してもらうなど、クルマとドライバーをつなぐプラットフォームを目指します。