発想の転換。

月森:もちろん勝手に開けたら大問題ですし、万一、お預かりしたものを破損したら補償問題になる。リスクを考えたら、やらない方が安全ですが、私どもには「預かったものを箱から出して大事に扱う」ノウハウがあるわけですから、それを生かさない手はない。

 それに、従来のトランクルームでは、何をどの箱に詰めて預けたかが分からなくなって、結局忘れられてしまう。そうした“悲劇”を避けるには、預けたモノをリスト化しておくのが効果的。と言って、お客様がご自身ですべてやるのはなかなか難しい。ならば、こちらでやろうじゃないか、ということです。

アナログ感覚のエコシステムをデジタルで

そうなると、いわゆる「単品管理」ができるようになる。

月森:まさに。例えば洋服を預かって、それを取り出す際にはクリーニングサービスを提供するとか、紙焼き写真のアルバムやフィルム式のホームビデオを預かる際にデジタル化を請け負うとか、サービスの可能性がぐんと広がります。

 その先に、持っているモノを売ることもできる、というサービスが見えてくるわけですが、そこで、サマリーのユニークな仕組みが利いてきます。既に60万人の会員がいて、本が好きな人、洋服が好きな人、といった具合にグループ化されている。我々が預かっているモノの中から、持ち主が手放したいモノを実際にやり取りできる場として、非常に魅力的です。

山本:サマリーは人々の物欲を“デジタル上で見える化”します。そしてサマリーポケットは、リアルに預かったモノを“デジタル上で見える化”します。

 サマリーのユーザーが、その時点で持っているモノを「今のhave」とすると、ユーザーが「want」と登録するのは「未来のhave」。そして、サマリーポケットが預かっているモノは「過去のhave」。それらが互いに連携する仕組みを作れば、POSから解放された「一点モノ」たちの新たなエコシステムができる。

 「POS以外」のエコシステムにはアマゾンのマーケットプレイスやヤフーオークションなどがありますが、それ以外の様々な可能性がまだまだあるはずです。

 サマリーをベースにしたエコシステムは、より精度の高いものになります。好みの合う人同士が、欲しい人と手放したい人としてつながるコミュニティー。そこは「モノとのより良い関係」を築ける場です。例えば、思い入れのあるモノを、それを大事に使ってくれる人に譲りたい。そんな感覚的にはとてもアナログなやり取りを、便利なデジタルツールで手軽にできる。

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