日本だけじゃなく世界各国も、核家族化が進んで祖父母世代との交流が少なくなってきているということなのでしょうか。

松浦:それも一つあると思います。

 年上世代と年下世代をどのように繋げるかということは、日本は特に重要なのではないかと思います。「普段、誰かの家を訪問することは、1週間に何回ありますか」という質問に対し、グローバルは平均2回、日本は0.7回。「普段の生活の中で、恋人とスキンシップをとるのは、1週間に何回ですか」という問いには、グローバルは平均2.3回。日本は0.8回。

 つまり、日本は、集団意識の強い国でありながらも、孤独を感じる国になりつつあるんです。

 高齢者に対する不満についても驚きの結果が出ました。「年配の方をとても尊敬している」と答えた割合は、世界平均は88%、日本は57%とかなり低い部類なのです。

これはすごいですね。最下位は韓国。

松浦:韓国が最も低い48%です。ここについては、国特有の要因があるかもしれません。おそらくずっと「年上は絶対に尊敬しなきゃいけない」と言われ続けているから、「必ずしもそうじゃない」という気持ちの現れではないかと思いますね。

韓国や日本は儒教の思想が浸透している国ですよね。だから、年齢が上だったら絶対的に敬わなきゃいけないという固定観念がある。

松浦:そうです。でも、「年上だからといって、誰でも尊敬できるわけじゃない」という反発心があると思うんですよね。そのうえ日本では、「暴走老人」の問題も取り沙汰されるから、なおさら反発を感じやすいのかもしれません。

 今、「ツイッターおばあちゃん」と呼ばれている、83歳の方がいらっしゃるのはご存じですか?

8万9000人のフォロワーを持っている方だそうですね。

松浦:そう、その方は1日に平均60回もつぶやいていて、若者と交流をしているんです。若い世代の悩みに答えたり、おばあちゃんの知恵のようなものを授けたり。11個くらいのデバイスを使い分けているんですよ。

すごい。

松浦:若者も、高齢者と交流したいというニーズはすごくあるということです。このケースは非常に興味深いと思いました。

企業や社会が「良い年の取り方」をサポートすべき

松浦:今全世界で、年齢差別のない「エイジ・ポジティブ」な未来への期待度が低くなっています。

 「2025年までに世界の健康度が高くなる」と考えている人の割合は、わずか28%。日本はたった11%です。「2025年までに世界の幸福度が高くなる」と考えている人の割合も、グローバルは22%、日本は10%。特に日本は、ネガティブに未来を捉えているということです。

 そこで政府や企業が、「良い年の取り方」についてもっとサポートできるのではないかと思います。あるいは、世代を超えたつながりを作るためのサポートです。いずれもニーズがあります。

 しかし、なかなかそれができていない。今後はこれらが大きなテーマの一つになっていくのではないかと思います。以上が、新しい年齢を捉えるためのマーケティングにおける4つの原則です。

着実に医療技術が進歩して、昔は60歳まで生きるのも珍しかったのが、今、日本の平均年齢は男女ともに80歳を超えています。政府は「人生100年時代構想」と言っていますが、そうなった時は、生き方、働き方、学び方、子育ての仕方、あらゆるものが変わってきますよね。

松浦:ええ。もはや従来の人生モデルの踏襲はできません。しかし見方を変えれば、ここにたくさんのチャンスが埋まっているんじゃないかと思うんです。

特に日本は、課題先進国ですからね。

松浦:そうです。課題先進国は「チャンス先進国」でもある。先んじて色々なことができるということです。