今、世界中のあらゆる年代で「年を取ること」に対する捉え方が大きく変化しているという。100カ国超に展開する米マッキャンは、全世界で実施した調査「TRUTH ABOUT AGE(年齢についての真実)」を踏まえ、新しい年齢マーケティングにおける4つの原則を導き出した。詳細を、マッキャンでプランニング本部長、エグゼキュティブプランニングディレクターを務める松浦良高氏に聞いた。

(聞き手は坂田亮太郎)

高齢者の行動や価値観は、従来のイメージとは大きく異なる

昨年8月に発表された、マッキャン・ワールドグループが実施した調査「年齢についての真実」で導かれた結論は、「実年齢だけが個人の行動様式を決めるわけではない」というものでした。具体的にご説明いただけますか。

松浦良高氏(以下、松浦):当社では、毎年約30カ国3万人に向けて「世界の市場と生活者はどのようなことを考えているのか」ということをテーマとした大規模な調査を行っています。なかでも今回フォーカスしたのは、「年齢」です。世界28市場で20~79歳の回答者約2万4000人を対象に定量アンケート調査を実施し、それを補うために世界35市場でインタビュー調査も行いました。

<span class="fontBold">松浦 良高(まつうら・よしたか)氏</span><br />マッキャンエリクソン プランニング本部長 エグゼクティブプランニングディレクター。博報堂、上海博報堂、TBWA/HAKUHODOを経て、2014年12月より現職。世界100か国以上に展開し、約2万4000人が働く世界有数の広告会社・マッキャンの日本支社で、戦略部門の責任者を務める。大手企業のブランド・マーケティング戦略にかかわる業務に一貫して従事しており、特にグローバル関連の戦略構築業務に強い。これまで企業の国籍を問わず、100以上のブランドの戦略立案に関わっている。 米国ジョージ・ワシントン大学国際関係学部修士。青山学院大学国際経営学科MBA非常勤講師(ブランド戦略)。日本広告業協会 ビジョン小委員会委員 。受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アジア太平洋広告祭など。審査員歴は、APACエフィー賞(広告効果)、中国国際広告祭など。 著書訳書に、「亜州未来図2010」(共著、阪急コミュニケーションズ)、「ファシリテーター完全教本」(共訳、日経新聞社)、「新・中国若者マーケット」(弘文堂)、<a href="https://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%B6%88%E8%B2%BB%E6%96%87%E5%8C%96%E2%80%95%E2%80%95%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E5%BA%83%E5%91%8A%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E7%8E%8B-%E7%91%BE/dp/4000227831/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1519088565&sr=1-1&keywords=%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%B6%88%E8%B2%BB%E6%96%87%E5%8C%96" target="_blank">「現代中国の消費文化」</a>(岩波書店)、<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E5%AE%8C%E7%92%A7%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A6%E3%82%82%E3%80%81%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%A7%E8%87%AA%E4%BF%A1%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A6%E3%82%8B%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%83%BC-%E9%A4%8A%E6%88%90%E8%AC%9B%E5%BA%A7%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E6%9D%BE%E6%B5%A6%E8%89%AF%E9%AB%98/dp/4883354091/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1519088514&sr=8-1&keywords=%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8" target="_blank">「マーケティング英語の教科書」</a>(宣伝会議)など
松浦 良高(まつうら・よしたか)氏
マッキャンエリクソン プランニング本部長 エグゼクティブプランニングディレクター。博報堂、上海博報堂、TBWA/HAKUHODOを経て、2014年12月より現職。世界100か国以上に展開し、約2万4000人が働く世界有数の広告会社・マッキャンの日本支社で、戦略部門の責任者を務める。大手企業のブランド・マーケティング戦略にかかわる業務に一貫して従事しており、特にグローバル関連の戦略構築業務に強い。これまで企業の国籍を問わず、100以上のブランドの戦略立案に関わっている。 米国ジョージ・ワシントン大学国際関係学部修士。青山学院大学国際経営学科MBA非常勤講師(ブランド戦略)。日本広告業協会 ビジョン小委員会委員 。受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アジア太平洋広告祭など。審査員歴は、APACエフィー賞(広告効果)、中国国際広告祭など。 著書訳書に、「亜州未来図2010」(共著、阪急コミュニケーションズ)、「ファシリテーター完全教本」(共訳、日経新聞社)、「新・中国若者マーケット」(弘文堂)、「現代中国の消費文化」(岩波書店)、「マーケティング英語の教科書」(宣伝会議)など

 はじめは、「高齢化社会の真実」を調べようとしていたんです。ところが調査をしていく中で、年を取っていくことを気にしているのは高齢者だけではなく、むしろ若者の方が気にしているという発見がありました。そこで「年齢についての真実」というタイトルに変更したのです。

 まずは、「年を取ること」に対する各世代の考え方から見ていきましょう。

 今回の調査では、グローバルで死を最も恐れているのは20代、年を取ることを最も気にしているのは30代、年を取ることを最も気にしていないのは70代という結果が出ました。意外にも、若い人たちの方が年を取ることを気にしているのです。

 年を取ることは、高齢者だけの問題ではありません。人生を楽しむのも、若者だけの話ではない。個々の価値観や行動を捉える基準として、「年齢」は参考にならなくなりつつあるのです。

米ニューヨーク在住のIris Apfel(アイリス・アプフェル)氏(写真:CJ Rivera / Getty Images)
米ニューヨーク在住のIris Apfel(アイリス・アプフェル)氏(写真:CJ Rivera / Getty Images)

 例えば、この写真の女性、アイリス・アプフェルさんは96歳の今もファッションアイコンであり、現役のビジネスウーマンとして活躍されています。日本でもおしゃれな老夫婦(60代)として有名な「bon」さんと「pon」さんは、Instagramのフォロアーが66.7万人もいらっしゃいます。

 それから、将棋の藤井聡太さんは14歳2カ月という若さで史上最年少のプロ棋士となり、将棋界のスーパースターになりましたよね。若くして億万長者になるベンチャー企業の社長も注目されています。今、年齢に関係なく多方面で成功している人がたくさんいるのです。

 年代別の価値観にも、面白い特徴があります。「恋人を作るのに遅すぎることはない」と考える割合は、グローバルで20代は61%、50代は67%、70代では71%。年を取るにつれて、むしろ高くなっているんです。

 行動についても、「1週間のエクササイズ時間」は、20代は平均で4.5時間。70代は4.9時間。70代の方が長いんです。

自分の時間が持てるかどうかを考えると、20代だと勉強や仕事、家族がいれば家族と過ごす時間がありますから、運動する時間を作ることは難しいかもしれませんね。一方で高齢者は、朝からスポーツジムに通う人がたくさんいます。

松浦:もはや、典型的な高齢者のイメージと実態は全然違うということです。

 「1週間のうちオンラインゲームに費やす時間」も、20代は平均5.6時間、70代は5.0時間と、ほぼ変わりません。それから「1週間のうち恋人とスキンシップをとった時間」は、20代は平均2.5時間、70代は1.5時間となっています。

従来のイメージから考えると、いずれも70代は長いですね。

松浦: そうなんです。次に、「あなたはどれくらい年齢を感じていますか?」という問いについて、「年齢をまったく感じない」を「1」、「すごく年を取ったと感じる」を「10」とした場合、1~10のどこに当てはまるか、という質問をしてみました。

 すると、20代は「4」、30代は「5」、40代も「5」、50代も「5」。そして、60代も70代も「5」なんです。

続きを読む 2/5 企業は「生活者の年齢の捉え方」を正しく把握していない

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