発想の転換をしなければ、ハード偏重のビジネスモデルを変えられません。

遠藤:ハードで儲けるのではなく、ソリューションやシステムのビジネスを主軸にする。それぐらいの発想の転換が求められているのでしょう。コマツ内部にそういうリソースがないのなら、買収も辞さないという覚悟も必要です。

 コマツはこれまで、建機の単品売りで伸びてきた会社です。「一本足打法」と表現してもよいでしょう。ある意味でバランスが悪いのですが、中国需要があるので、これまではどんどん伸びていた。業績を見れば、その選択が間違いではなかったことが分かります。

 今まではハードというコアだけで十分に成長できたし、利益も稼げました。だから「飛び地」を攻めるということを、コマツはあまり考えてこなかった。

選択と集中の「次」が見えない

遠藤:ところが次の10年、20年を見据えると、その延長線上では立ちゆかない。どこかで角を曲がらないといけない。ただし、どちらの方向に曲がればよいのか、コマツ自身も悩んでいるのでしょう。

 経営戦略の寿命はせいぜい10年です。過去のコマツの戦略は「選択と集中」で、かなり成功してきたと思います。しかし次の10年は、選択と集中の「次」を考えないといけない。コマツに限らず日本企業は、それを見つけ切れていません。稼ぐ力を高めて目先の収益性を高めた一方で、成長性や将来に対する投資が十分にできていないのではないか。私はそう考えています。

 建機メーカーとして生き残る、勝ち残ることにフォーカスしてきたコマツ。今までのステージではそれでよかったのですが、その延長線上で次のステージは戦えないかもしれません。

コマツは壁にぶつかっているのでしょうか。

遠藤:根深い問題だと思います。金融や流通の企業は自分たちのドメイン(事業領域)を広げて、顧客に提供する価値を広げようとしています。それに対してメーカーは、自分たちの狭い領域だけで考える傾向が強い。せっかくよい技術を持っているのに、世の中の潮流に乗り遅れています。

 日本のメーカーは相変わらず、自社のモノ作りに誇りを持ち、商品に自信を持っています。確かにそうかもしれませんが、もっと視野を広げることで競争力が高められます。そういう発想を持たないメーカーは、本当に危険だと思います。