システム発想の欧米、部品から積み上げる日本

ハードへのスタンスの違いが、どう戦略に反映されるのでしょうか。

遠藤:GEやシーメンスを一言で表現すると「システム発想」。まず全体のシステムを考えて、それに適したハードを当てはめていく。例えば病院向けのビジネスで、シーメンスが狙うのはシステムを丸ごと一括で受注することです。必要な医療機器は外部から買ってくればよいと割り切っています。

 一方で日本メーカーは「コンポーネント発想」。ハードを起点にし、様々な部品を組み合わせながらシステムを考えていくやり方です。現場から積み上げていくスタイルとも言えるでしょう。

 製造業の付加価値が、ハードからサービスやソリューションに移っていく中で、コマツを含めた日本メーカーがどうやって戦うのかが大きな課題になっています。このままでは、欧米勢が考えたシステムに対し、特定部分の機器を納入する存在になりかねないからです。

コマツは、ダントツの「ハード」こそがダントツの「ソリューション」を生み出すとしています。

遠藤:コマツが中国で成功したのは、確かにハードで違いが出せたからです。建機で重要なのは目先の値段ではなく、ライフサイクル全体で見たコストです。一見割高でも、コマツ製品を使った方が故障が少ないため、結局は安くつくと中国の顧客が気付き、一気に売れ始めたわけです。

 建設機械は過酷な環境で使われるため、耐久性が求められます。一般の乗用車と異なり、簡単に作れる製品ではありません。米キャタピラーとコマツで市場を分け合っているのは、技術面で真似するのが難しいからでしょう。

 そうした面で、コマツは競争力を持ち続けているのは事実でしょう。しかし今後も、それだけで本当によいのか。現時点でコマツが提供するソリューションは、あくまでも建機の付帯サービスです。それではビジネス規模が限られてしまいます。

 さらに、現状に安住していてはゲームのルールを変えられてしまう恐れがあります。仮に中国の建機メーカーがハード販売から脱し、システムを丸ごと請け負うようなビジネスに乗り出したらどうなるか。中国企業が受注した工事に建機を納める「下請け」として、コマツが使われる可能性も考えられます。