遠藤:いわゆる「ダントツ商品」は健在だし、2015年からは(自動化建機を使ったサービスの)「スマートコンストラクション」も始めました。IoT(Internet of Things)の方向性に関しては、コマツは今も業界をリードしていると思います。決して競争力は劣化していない。

10年後のコマツの「飯の種」は?

 一方で、今後10年、20年にわたってコマツが何で「飯を食う」のかが見えてきません。非常に不透明な状況だと思います。

 かつてと違い、新興国での爆発的な需要の増加は見込みづらい。建設機械では今後、間違いなくコモディティー化が進みます。ボリュームゾーンを構成する安い機械では中国勢が台頭し、コマツといえども対応を迫られます。一方で、サービスだけで収益を上げられるわけでもない。優位性の源泉になるとは思いますが、大きな事業の柱としては期待しにくいでしょう。

 過去10年、コマツは成長企業とみられていました。その観点からは、今のパフォーマンスは期待外れだと思います。しばらくは踊り場で、次の成長への模索を続ける時期なのでしょう。着実に市場を獲得し、堅実路線を歩まざるを得ないのかなと思います。

コマツの売り上げの9割を建設機械と鉱山機械が占めています。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のようにソフトウエアに軸足を移せば、別の領域で成長が見込めるのではないでしょうか。

遠藤:ハードウエアよりむしろサービスで稼ぐという流れは、世界中で共通です。GEだけでなく独シーメンスもそういう志向を強めています。ハードがコモディティー化すると付加価値がどんどん下がり、収益が稼げなくなっていく。そこで、システムやソリューションを提供して稼ぐというのが大きな流れになっています。

 欧米の先進企業は、そういう転換を相当ドラスチックに行います。自分たちはモノ作りをしないと宣言し、完全にハードを捨てる企業すら珍しくない。そして、サービスやソリューションの開発に思いっきり投資していく。

 一方で日本企業は、どうしてもハードから離れられない。コマツもそうでしょう。スマートコンストラクションを始めたからといって、コマツが建設自体を丸ごと請け負うわけではないし、ゼネコンになるわけでもない。あくまで建機を販売する際の、付加価値サービスと位置づけているのでしょう。