チームラボは、もともとIT企業という印象が強かったと思いますが、今はアート集団と見られることが多いんですか?
猪子:昔から変わってないですよ。創業から特に事業を定めていない。創業期からアートを創り続けてきた。では何でアートに興味があるかというと、それはさっきも言った通り、人間の世界の見え方を変える可能性があると思っているから。
自分はもともとサイエンスとアートがすごく好きで。サイエンスは世界をより見えるようにすることだと思うし、アートというのは世界の見え方を変えることだよね。
世界をリードする人にとってアートは必須
チームラボも、やがてウォーホールのように産業にインパクトを与える可能性はありますか?
例えば仮にチームラボが、デジタルアートで成功するとする。例えばプロジェクター。今でも既に、シンガポールのナショナルミュージアムにある建物の空間を全部、プロジェクターで覆った作品なんかを発表しているわけです。
それが世界的なメディアに露出している。仮にそれがいいとなる。美の基準が変わるとする。美の価値基準が変わって、デジタルアートで空間を覆う方が、従来の空間デザインなんかにとって変わっていくかもしれない。そうしたらプロジェクターのメーカーには、新しいマーケットが生まれるかもしれない。
だって、これからアジアですごい数の高級ホテルが建っていく。物質的に空間をつくるより、デジタルで空間をつくった方が高級だとなったら、高級な建材に代わって、高級ホテルにも市場が生まれるかもしれない。そのうちの1割がそうなれば、プロジェクターのメーカーには莫大なマーケットでしょう。
しかも、アート作品に必要なのは最高級の製品。プロジェクターを開発しているメーカーにとっては、ものすごく大きなビジネスが転がっている可能性はあるよね。
だから、企業もアートに注目しているという面はあるのですか。
猪子:世界をリードする人や企業にとってアートは絶対必要。そして、海外で実感するのは、日本の人が思っているよりもアートというのは、経済に影響を与えるということ。
枠組みを変えることのみが、新しい産業を生んだり、何かの産業を加速させたりする。決して、アートのマーケットサイズだけを見て判断していては、理解できない。
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