悩んだ大塚家具のケース

2015年は大塚家具や黒田電気など、話題になる株主提案がありました。プロキシファイト(委任状争奪戦)はこれからも増えるのでしょうか。

石田:ああしたケースが今後も起きるか起きないかは、なかなかわからないのが実態です。ただ、大塚家具や黒田電気のように注目されるものばかりではなく、小さなケースは結構起こっています。

 「プロキシファイト」と言っても、かっちりした定義がないんですね。両陣営に分かれて議決権を取り合うといった分かりやすいケースだけではありません。例えば、創業者が息のかかった人物を取締役会に送り込むといった、報道されないような事例も多いんです。

ISSとして改めて判断基準を明確にしたことで、企業側も従前から意識するようになるのではないですか。

石田:我々としては、株主がどのような視点で見ているかをきちんと打ち出したいと考えています。ただ、プロキシファイトの場合はどちらが正しいのかの答えがなく、判断が難しいのですね。M&A(合併・買収)などは一見複雑に見えても、比較的判断しやすいのです。

 例えば昨年の大塚家具のケース。(前会長の大塚)勝久氏がマネージャーが並ぶ前で記者会見を開きました。もし、総会で会長側が負けてマネージャーがやめてしまったら、会社が動かなくなる。ここだけを見て、企業の継続性だけを重視すると、どちらを支持すべきかの結論はすぐに出ます。でも実際は、論点はそれ以外にもあるわけで、悩みました(ISSは会社側を支持した)。

 ですから、経営側と株主側に何度も話を聞いて判断するしかありません。経営側は内部の情報を持っているので、株主提案に対する反対意見をいくらでも出せます。我々は外部者ですので、どちらが筋が通っていて、どちらを信用していいのか、答えが見にくいんですね。

 そういう時に、社外取締役と話ができると見えてくるものがあります。社外取締役も会社側の人と言えなくもありませんが、それでもリーガルリスクを背負ってポジションについているわけです。仮にその社外取締役が会社側の言い分と同じことを言っても、時間をかけて議論したプロセスも含めて理解できれば、重みが違います。いろいろな立場の人に話を聞くことで、立体的な姿が見えてくるのです。

次ページ 前向きな議論に期待