「3分の1以上」も目安に

ルールが「最低1人」だった時期から「2人以上が好ましい」というメッセージを発信しておられました。今回、ルールが「2人以上」に変わり、この次の段階としては何が考えられますか。

石田:0から1になり、次に2になった。「一体、この先どこまでいくのか」とよく聞かれます。これは難しい問題で、現時点で何か決まった方針はありません。ただ言えることは、ISSが求めているのは最低限だということ。社外取締役がゼロよりは1人でもいたほうがいい。それが2人以上になると、社外取締役同士が話し合えるし、取締役会としても意見を無視できなくなります。

 ISSとして求めるわけではありませんが、世の中のガバナンスの議論や海外の投資家が1つの目安としているのは、「3分の1以上」とういうラインです。これは何も取締役会だけでなく、複数の人が集まる会議体のあり方についての目安になっています。

 10年前なら、「取締役の3分の1以上が社外」と聞けば企業はびっくりしたかもしれませんが、今では非現実的なレベルではありません。日本企業の取締役の数は平均して9人前後です。うち社外取締役が2人いるとして、あと1人加えたら3分の1になります。社外取締役が過半数になれば取締役会のあり方が劇的に変わりますが、3分の1ではそこまでではない。現状から1人増えれば、3分の1のラインに近づくわけですから。

今回、「長期の業績」や「現経営陣の実績」「株主提案の実現性」など、経営権の争いがあった場合の判断基準を明確に打ち出しました。これはどのような狙いでしょうか。

石田:以前から、株主提案などの経営権の争いについては個別に判断してきました。ISSとして透明性を高めるため、その判断基準を改めて明確にしました。

 昨年、外部からある指摘があったこともあります。ISSは取締役選任案についての判断基準を開示しています。ある株主提案で、「判断基準をクリアしているはずなのになぜ選任案に反対なのか。恣意的に基準を変えているのではないか」との意見がありました。これまでの個別判断でも内部では一定の基準がありましたので、透明性を高めるためにそれを明記することにしました。株主提案がよく起こる米国の基準をほぼそのまま用いたものです。

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