シニアはどのようなことを教え、学ぶのですか。

イニゲス:例えば経営を担ったことのあるシニアは経験が豊富なので、困った時に状況を素早く判断し、決断を下すことができますね。得てして若手よりも人に対する洞察力があるので、人間関係に関する知恵を授けることもできます。

 ただ若手とうまくやっていくには、シニア層の意識改革も同時に必要になります。中には、「自分は何でも知っている」と思い込んでいるような人もいますので、謙虚さを身に付ける必要があります。謙虚になる訓練をするのです。

 それに、シニア世代になってからも起業家精神を持ち続けるためには、常に新しい知識に対してオープンにならなければいけない。「まだまだ学ぶべきことがたくさんある」と自覚しなければいけないのです。

新しい学習は、脳細胞を活性化させる

 また、新しい知識を吸収することは、若さを保つためにも効果的です。ある調査では、シニア世代、40~50歳以上で教育プログラムに出席した人は、脳の神経細胞の働きが再び発達したということです。何も刺激を与えなければ、脳の神経細胞のつながりが徐々に消失し、外からの刺激に対する柔軟性(可塑性)が低下していきます。

 これが再活性化できれば、脳の若さを維持することができる。つまりアンチエイジングに対しても教育が有効だと科学的に証明されてきているのです。将来的には特定の薬を服用して脳の活性化を促すことが、シニア向けの教育プログラムの中で認められるかもしれません。

年を取ると新しいことが受け入れられなくなる、と言う人も多いですが、どう思われますか。

イニゲス:まだまだいろいろなことをし続けることができますよ。体力の問題ではないですね。技術を使えば多くの活動に参加できますし、既に、体に障害のある人でもSNSを通じてコミュニケーションをしたり、仕事をしたりしています。