21世紀になってから社会人になったミレニアル世代がシニア世代になる頃は、そうしたニーズに応える新しい製品・サービス・教育が既に定着しているのではないでしょうか。シニア起業家を育てる必要もあります。55歳以上の人々にどう新しい情報や知識を身に付けてもらい、65歳以上になっても働けるぐらいまでにパワーアップしてもらうか。また、健康でいてもらう必要もあります。

 我々のようなビジネススクールでは既に、知識やスキルの必要性だけではなくて、健康状態、食生活からスポーツにおけるニーズまで盛り込んだシニア向けプログラムを展開しています。経営幹部は特別そういった健康管理に気を配る必要があるからでもありますが、これを「シニア・フェローズ・プログラム」といいます。

若手にあって、シニア世代にないもの

ビジネススクールが、そこまで。ずいぶんと面倒見がいいのですね。

イニゲス:管理職やCEO(最高経営責任者)といった、トップマネジメント職に就いていたリタイア目前の55歳以上の人々に、引退前の準備をしてもらうプログラムです。日本は年功序列で出世していきますが、欧州の場合、CEOが辞任すると、次世代に譲るため周囲のスタッフも一緒に全員辞任しなければならないケースが多いのです。

 ただ、シニアを教育するだけが目的ではありません。我々もシニアからスキル、知識、経験、幅広い人脈、知恵を授けてもらえます。シニアにはそれまでに培ってきた高い評判もあります。ミレニアル世代がまだ持っていないものです。

 ビジネススクールの課題は、こうしたシニア向けプログラムをどう開発していくかということと、そこに若い世代も巻き込めるような多様性をどう実現し、どうシニアと若手のシナジーを生んでいくかということです。

 シニアから若手への指導はメンター制度などがありますが、我々は、「リバース・コーチング」というやり方も採用しています。シニアは若手に助言をし、ミレニアルらジュニア世代は、IT(情報技術)など技術的な知識や、シニアが若手から知りたいことを伝える、という内容です。一方的なコーチングではなく、互いに学び合うのです。