欧米勢だけでなく、中国も再編劇の主要プレーヤーとして台頭してきました。中国大手の紫光集団が昨年、HDDで世界最大手のWDに約38億ドル(約4600億円)を出資。そのWDが10月、フラッシュメモリー大手の米サンディスクを買収すると発表しました。

南川:このままでは中国勢に総取りされかねない。そういう危機感が、M&Aを加速させている面があります。紫光集団はWD以外にも米マイクロンに提携を持ちかけるなど、積極的に仕掛けています。

 紫光集団は中国の清華大学系列で、清華大は習近平国家主席の出身校でもあります。紫光を軸に、習近平政権は国産の半導体メジャーを作ろうとしているのでしょう。

中国の軍需産業にとって、半導体は不可欠

なぜ国産にこだわるのでしょうか。

南川:中国の最大の輸入品目は原油です。それに次ぐ製品が、実は半導体なのです。輸入を減らして貿易不均衡を減らすのが、大きな目的です。国として電機産業を強化する上で、根幹となる半導体技術を持たないと競争力が高められないと考えているわけです。

 軍事戦略にも大きく関わってきます。半導体無しに、ミサイルなどは開発できません。通信やサイバーセキュリティの技術も、半導体と密接に関わってくる。そうした技術を自前で持っておかないと、いざという時に困ってしまう。米国が売ってくれなくなったらお手上げですからね。だからこそ、様々な企業を買い漁り始めたのです。

 こうした動きは本当に怖い。中国勢は需給や適正価格を無視して、買収や投資の判断ができますからね。技術を習得するのが目的で、マーケットを壊すことなんか気にしない。あえて需給バランスを崩すような動きに出てくるかもしれません。

IoTが進展すると、半導体の使われ方や求められる機能はどう変わるのでしょうか。

南川:パソコンやスマホでは、端末内部に強力な処理能力が必要になります。そのため、高性能なメモリーやCPU、画像処理などのLSI(大規模集積回路)が求められてきました。微細化を進めて生産プロセスを工夫することで、各半導体メーカーは競争してきました。

 ところがIoTになると、そうした高度な処理能力は一部でしか必要なくなる。様々なセンサーをばらまいて情報を収集し、分析する場合を考えてみましょう。