「時間定義」を明確にした商品開発が進む

単身世帯も同じ傾向があるのでしょうか。

:残業などをする単身世帯の場合、時間通りに夕食を食べられないから、夕食の手前に軽食を食べ、さらに仕事帰りに「自宅で用意する手間がかからないから」と軽く食べて帰宅したりします。そして就寝前にパンやアイスクリーム、ケーキというデザートを食べる。

 家族世帯でも単身世帯でも、「1日3食」という食事スタイルは崩壊していて、その時々にちょこちょこと軽食を取っている姿が浮き彫りになりました。

それだけ食生活が変わば、食品・飲料メーカーや食品スーパー、コンビニエンスストアには新たな商機が生まれるようにも思います。

:最近私は食品・飲料メーカーに対して、「1日5食」というスタイルを前提に、どの時間に売る商品なのかという「時間定義」を明確にして商品を企画しましょうと言っています。

 例えばヨーグルト。これまでヨーグルトは、どちらかというと主食に付随する食材でした。パンやおかずに添えられるのがヨーグルトだった。けれど最近の朝食ではヨーグルトが主食になっています。さらに寝る前のデザートとして、よりリッチ感、本物志向のヨーグルトを食べたいというニーズも生まれています。

 こういう状況はメーカーにとってみれば、むしろ都合がいいはずです。商品のマーケティングがしやすくなりますし、時間やシーンを明確にして商品特性を際立たせることもできますから。メーカー側も最近は消費者の変化に気付き、自分たちの商品がどんな時間帯、どんなシーンで売れるのかを調べ、ニーズに合わせようとしています。

メーカー側だけが工夫をしても、売り場が変わらなければ商機を生かすことはできません。

:食品スーパー側も少しずつ変わってきています。これまで、食品スーパーは晩ご飯の需要に合わせて、夕方6時に「できたて総菜」を売り場に並べていました。けれど、今や夕方の6時に総菜売り場に足を運べるのは、一部の消費者だけでしょう。

 そこで成城石井は、午後8時にも「できたて総菜」を並べるようにしています。午後8時頃に売り場を訪れた消費者が、まさにできたての総菜を買うことができる。明らかに専業主婦世帯ではなく、共働きなどの就業世帯に訴求した取り組みです。こうした変化は今後、コンビニにも広がるはずです。

コンビニは1日に何度も商品を補充していますから、より時間帯別のニーズに合わせた売り場を作りやすいような印象を受けます。

:コンビニだと、それぞれの時間帯によって、配送便の品ぞろえを変えればいいわけですから、簡単かもしれません。朝9時頃に訪れる高齢者と、仕事帰りに訪れる勤労世帯では、望む売り場も違いますから、それぞれのニーズに合わせて売り場を変えるべきでしょう。これまでコンビニは、消費者の朝食ニーズを取り込むことに成功しました。今後は夕方や夜などのニーズを取り込むようになるはずです。夜の方が売れる商品の単価も高いので商機は大きい。

それぞれの食事の「軽食化」が進んでいることを考えると、よりコンビニの商機は大きいように感じます。

:コンビニがさらに軽食の商品を拡充すれば、売り上げを伸ばすことができると思います。簡単に買い物できるコンパクトな売り場があって、鮮度を維持した輸送もできる。そうなると、外食産業にとって、コンビニはより大きな脅威になるでしょうね。

 セブンイレブンなどは、もともと外食のニーズを取り込む試みを続けてきています。コンビニコーヒーで朝食需要を取り込み、コンビニドーナツでおやつの需要を取り込んだ。「その時間になればコンビニに行く」という消費スタイルを作った点で、セブンイレブンの取り組みには大きな意味があったと思っています。

 そしてこれからは、いかに夜の需要を取り込むか。コンビニは飽和したという意見もありますが、夜の需要を本格的に取り込むようになれば、まだまだ成長する余地はある。

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