単語力は「The Oxford 3000」で十分

ビジネスシーンではさまざまな専門用語も飛び交いますよね。単語力の向上は必要ないのでしょうか。

三木:基本的な英語としては、オックスフォード大学出版局で、日常会話でよく使われる3000語の基本的な語彙をリストアップした「The Oxford 3000」が分かれば十分です。ウェブサイトで公開されています。

「<a href="http://www.oxfordlearnersdictionaries.com/wordlist/" target="_blank">The Oxford 3000</a>」の単語がわかれば十分。
The Oxford 3000」の単語がわかれば十分。
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 孫社長のスピーチの90%以上はここに掲載された単語でカバーされています。ちなみに、米国大統領になったドナルド・トランプ氏の語彙を調べたこともありますが、やはり決して多くはなく、スピーチの約88%が「The Oxford 3000」の単語で占められていました。もともとネイティブのひとたちが普段使っている単語の大半は、日本の中学で学ぶような単語なのです。私は、この3000語を覚えていれば、ビジネス上の基本的な語彙はほぼ問題ないと思っています。

 一方、使うことが想定される専門用語については、A4の紙1枚にあらかじめまとめておくことをお勧めします。「専門用語シート」と私は呼んでいるのですが、必要なときにそれを見ながら話せばいい。社長室長になった翌年、やはり20代で自分は「品質管理本部長」になり、ヤフーBB用の通信機器について台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と交渉することになりました。それまで主に担当していた金融分野とはまったく異なる世界です。しかし、そうなったら、品質管理に関する英語の本を探してきて、その単語をA4に抜き出しておけばいいのです。

 同時に、交渉時には自分の言いたいポイントを簡単にまとめた、やはりA4サイズの「メモ書き」も用意していました。そのA4のメモを先方に渡し、メモに沿って話をすれば確実に相手に伝わりますし、少なくとも大きな失敗は避けられます。とりわけ数字はメモにキチンと書く。英語に不慣れな日本人が数字を言うと、ケタを間違いやすいので。そうしたメモを渡したうえで、強く言うべきところでは、必要に応じガンガン机をたたいたりして交渉していました(笑)。

 大きな声で話すことも、英語の場合とくに大切なのです。ふだんの声が大きい人の方が英語をマスターするのが間違いなく速いです。

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