(聞き手は田村 賢司)

1982年、日本生命保険相互会社入社。国内債券の運用などをへて、94年に米国のパナゴラ投資顧問出向。米国債券運用を担当し、2000年からニッセイアセットマネジメントで、内外債券と外国為替の運用を行う。2009年から現職
中国の景気減速に懸念が広がっています。どう見ていますか。
三尾:消費は悪くはないですね。小売売上高は、昨年4月に底を打った後、回復に転じ、同11月には前年同月比で11.2%増になりました。建設などの固定資産投資は、長期的には右下がりの低空飛行ですが、同10月からやや回復している。言われているよりは少しいいようだけど、先行きの動向を示す製造業PMI(予想指数)は、12月まで2カ月連続の50%割れです。足元はやや小康状態ですが、将来は厳しいといったところです。
非製造業はどうですか。
三尾:こちらはずっと50を超えて、いいですね。中国も賃金が上がり、人民元高が続いて輸入品が安くなってきたせいでしょうか。先ほどの消費がまずまずなのと同様ですね。
それと、電子商取引のアリババや通信のシャオミなど、新たな成長企業も育っている。政府がブロードバンド化を進めたり、物流網の整備に力を入れてきたりした事が効いているのでしょう。
投資主導で景気を押し上げている
それでも懸念が根強い理由の1つに国有企業の3つの過剰問題があります。過剰投資、過剰設備、過剰債務ですが、改善は進んでいないようですね。
三尾:確かにそうですね。まず、過剰投資から言うと、住宅投資、設備投資、公共投資などの総固定資本形成は2013年で、GDP(国内総生産)の45%に達し、主要国の中では群を抜いて高い状態です。日本や米国の2倍以上、第2グループの韓国やインド、インドネシアでも30%程度です。消費が伸びてきたと言っても、なお投資主導で景気を押し上げていると言えます。
Powered by リゾーム?