井戸:はい。保障を重視した販売に今こそ変えていく時期だろうと、全社で取り組んでいるところです。特に養老保険と終身保険に医療特約を付加することに力を入れています。

 そう舵を取りつつ、さらに先ほどから話に出ている高齢者向けサービスを追求していくことによって、お客さまの支持を得て、今後もしっかりとした成長を当社が成し遂げられると思っています。

 今年から経営理念も変え、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」というビジョンにしました。お客さまのための会社ということを前面に出してやっていきます。私も情報システムを担当する中で、本当に肌理細かなサービスの実現にこだわっていきたいですし、これまで以上に品質に配慮していきたいとも思っています。

日高:井戸さんの頭の中には今後のシステムのあるべき姿が時間軸とともにあって、その姿をマーケットの変化に応じて変えている。論理的に考え、着実に実行されている印象を受けます。

井戸:論理的かどうかは分かりません、単なる思い付きかもしれない(笑)。確かに情報システム全体の構造、いわゆるアーキテクチャについてはいつも考えていますが。

 経営とシステムは一体だ、とよく言われます。言葉ではそう言えるのですけれど、実際にどうするのかと考えると、今のシステムの構造を変えていかないといけないところが沢山あります。

 一例を挙げますと、保険募集の仕事自体が、土日に求められつつあります。どの業界でも「お客さまに土日だったら会えるね」となっていますよね。となると、営業が動きやすい構造のシステムにしなければならない。

 かんぽ生命として、郵便局の渉外社員の活動量を増やすことが必要で、それには土日をかなり意識したシステム作りをしないといけないと考えています。土日のオンラインサービスの提供時間をもっと長くしていく。銀行が即日決済への取り組みを始めていますから、ゆうちょ銀行をはじめとした各行との接続を考えると、今のシステムの構造では無理だよねというところがあります。

 「システムの構造上、できません」と言うのではなく、お客さまの動きを考えながら、システムの方を変えていくことをしっかりやっていく。2017年1月に新しい基幹系システムをリリース予定ですが、第一歩であって、さらに検討を進め、全体の構造の見直しを続けていきます。私の頭の時間軸に沿って言いますと、数年後、思い切ってシステムの構造を変えてしまいたい。

日高:キーワードは顧客の動きに合わせたシステム作りですか。

井戸:そうですね。もう一例挙げると、業務処理系の重たいシステムと、現場が常時利用するフロント系システムは独立的に柔軟な連携が保てるはずです。言い換えると、業務処理系のシステムの稼働・停止に依存することなく、フロント系システムが単独で稼働しうるシステム構造に変えてしまわなければなりません。

日高:高齢者向けサービスがどう発展するかによってシステムも変化しますね。

井戸:今まで社外との接続はそれほどありませんでした。ゆうちょ銀行の場合、ダイレクトバンキングをしていますが、我々の場合、インターネットに直接接続しているシステムはそれほど多くありません。しかし、これからは対外接続をもっと考えてシステムを用意していくことになります。今期は、中期経営計画の中間年度ですが、次期中計では、そうした構造の整理を大きなテーマの一つとして取り上げ、しっかりしたシステムアーキテクチャを用意したいと思っています。

日高:やることは相当ありますね。

井戸:これからの人は大変です。他人事のように言っていますが(笑)。申し上げたように、営業を本当に支援するシステムの構造と、今後の高齢者向けサービスを考えたお客さまのためになるシステムの構造、それらを合わせて考えられる人が必要です。それができる人を同時に育てていかなくてはなりません。

-「中編」に続く-