日高:顧客の健康情報と保険の情報を掛け合わせて、個々のお客さまに最適の保険を提案していくわけですか。

井戸:保険会社として、最終的に我々が目指しているのは、新しい商品に結び付けるということです。健康を意識され、ご自身のタブレットに健康情報を入れたり、調べたりする方がいらっしゃる。そこにこちらから色々な健康増進情報をご提供する。お客さまからご了解が得られれば、お客さまの情報がある程度、分かってきます。

 一方、我々はもともと保険契約の情報を持っていますし、先ほどのWatsonで支払いについても分析する。そこから得られた情報を加味していくことによって、リスク細分型の生命保険商品が作れるはずです。

日高:なるほど。デジタル化の進展に従って、いわゆる「見える化」が進みます。損害保険であっても、火災保険であっても、生命保険であっても今、何が起きているかがリアルタイムに見えてくる。当然、保険商品の革新につながっていきますね。

井戸:その際、我々はより最適な解を出せる、つまり最適な商品を提供できるデータを持っているし、持てる可能性があると思っています。というのも当社の場合、個人保険の保有契約件数が約3200万件、被保険者数は約2400万人近くいらっしゃる。まさにビッグデータの解析という取り組みを通じて、お客さまが本当に求める生命保険商品を提供できる。そういう日が近づいていると見ています。

日高:地方創生の話にも絡みますね。

井戸:そうですね。地方創生に日本郵政グループが果たさなければならない役割があります。社会貢献の一環とも言えます。それから医療費の高騰は日本の大問題ですから、健康増進サービスによって、医療費の削減につなげたいという思いもあります。

 先ほどご指摘の競争力の強化にもつながります。より最適な商品を提供し、競争力を高めていくということを狙っているのも事実です。

 かんぽ生命という生命保険会社をより広く知っていただくためにも、本当にお客さまのためになるサービスは何かと考えて、高齢者向けサービスを充実させていく。高齢者に優しい保険会社と言っていますので。そういった商品を提供し、サービスをお届けする。それにはやはり情報システムが必要で、全社一体になっていかないと、なかなか戦略を具体化できません。

「システムの構造上、できません」とは言わない

日高:戦略は高齢者向けサービスの一層の強化ということですか。

井戸:「高齢者だけですか」というご指摘をいただくことがあります。当社の保険契約を見てみると、被保険者の6割を女性が占め、50歳以上の中高年層が契約者の約6割を占めています。契約者が子供を被保険者にして保険を契約している例もあります。そういう実態を見ていますと、青壮年層向け、女性向けの商品開発も当然もっとやっていく必要がありますし、土壌はできていると思います。

 ただ、戦略といった場合、やはり保障、すなわち生命保険の原点に立ち返って販売していく、ここが大きいです。ややもすると、かんぽ生命は貯蓄をする会社と思われていたところがありました。

日高:安全、安心ということですね。