安部:選ばれると、それなりにモチベートする人が多くて、そうなると自分もやってみようと言い出す人もいて、いい循環になりました。ただ、おおむね一巡したので次はどういうやり方がいいか、考えているところです。同じことを繰り返すのは、ちょっと違うかなあと。

<b>日高信彦 氏 <br /></b>ガートナー ジャパン 代表取締役社長 1976年東京外語大外国語部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。1996年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。2003年4月から現職。
日高信彦 氏
ガートナー ジャパン 代表取締役社長 1976年東京外語大外国語部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。1996年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。2003年4月から現職。

日高:新しい研修の中でモバイルテクノロジーについても試行されていますか。

安部:研修のテーマとしてはモバイルを扱っていません。モバイルについては普通のプロジェクトとして3年ほど取り組んできました。花王にはフィールドで業務をしている皆さんが6000名強いて、業務の種類は大きく言って3種類か4種類あります。それぞれについてモバイルアプリを用意してきました。

 従来ですと見た目が違うアプリケーションですから、3つか4つ、それぞれきちっと作ってしまうところですが、モバイルの場合、セキュリティーにしろ、アプリケーションの配信にしろ、デザインの見てくれは違っても基本は同じですから、共通のソフト部品を用意しました。

日高:AIとかモバイルとかアジャイル開発とか、モード2が今後重要になりますが、一方で大半の作業はモード1だったりします。モード1の中にも改善していけばどんどん安価にできる世界がある。そのあたりの進め方はどうでしょうか。

安部:毎年いろいろな案件が出てくるわけですけれども、各業務にそれぞれ既存の情報システムがありますから、出てきた案件をリストにまとめています。今、グローバルでみると、リストには常に400件ぐらいありますね。

日高:結構多いですね。

安部:大小ありますし。もちろん国別、業務別に。それぞれのプロジェクトにそれぞれ人を割り当てます。例えば、この人はこのプロジェクトに何割関わる、というように。

日高:IT関係の人材の見える化ができるわけですね。モード1の。

安部:ええ。単純に割り当てていくと1人が3人分くらい働くことになりかねないので、日程を変えたり、人を増やしたり減らしたり、調整しています。そのあたりを見えるようにしたので、モード1モード2に限らず、今どのくらいのプロジェクトがあって、どのくらいの人がどう関わっているか、全体のボリュームと配分がつかめるようになっています。

日高:プロジェクトの優先順位をダイナミックに変更できますよね。

安部:いやあ、ダイナミックに変えるのは結構大変なのですけれども(笑)。ただ、働き方、労働時間の問題が出てきていますから、このあたりをきちんと整備しておいてよかったです。

日高:グローバルにはどうですか。国単位にとどまらず、いろいろな国の人たちが集まって、世界中で使うアプリケーションを作っていく、そういう体制をとれるマトリックスみたいものは。

安部:今、システム開発の拠点は日本とアメリカが中心です。日本のメンバーとアメリカのメンバーが一緒になってやっているプロジェクト、それからアジアのメンバーと一緒になってやっているプロジェクトもあります。将来はこの業務のことだったらあの国に頼もう、というように、センター・オブ・エクセレンスをはっきりできたらよいと考えています。

働き方改革はアナログな取り組みから

日高:労働時間の把握の話が出ました。ITを使った働き方改革の取り組みがあれば教えていただけますか。

安部:IT利用ということではまだまだですけれども、プリミティブな活動はしていて、結構効果を出しています。例えば朝、出社したら、ボードにある自分の名前の横に、その日の退社時刻を自分で書いてもらう。我々のシステム関連の部署から始めて全社に広がったものです。

日高:自己申告ですか。

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