安部:なにしろ、欧米の競合会社は2000年代の前半に、業務とシステムの標準化とグローバル展開を終えていて、それによってコストを下げ、出てきた原資をいわゆるビジネスのデジタル化に振り向けてきています。我々は周回遅れだと見ています。
それでも一応やりきったので、一つのクールにピリオドを打つことはできました。その次のクールをこれからまたやっていくということです。
徐々に深めていく、それが業務標準化のカギ
日本国内だけ見ても歴史的な経緯によって、似たような機能、同じような機能を複数のシステムが備えているところがまだあります。今それを一生懸命、整理し、シンプルにしてコストダウンを図り、もっと新しい取り組みに原資を振り向けていこうとしています。

ガートナー ジャパン 代表取締役社長 1976年東京外語大外国語部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。1996年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。2003年4月から現職。
日高:既存のシステムを整理して統合しようとすると、どうしても時間がかかりますね。ただ、謙遜されていますが、御社の場合、見える化が徹底しているじゃないですか、例えば工場のオペレーションも標準化されていて、KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)もだいたい決まっていて。
安部:すべての工場のオペレーションが標準化されている、それはちょっと言い過ぎなのですけれども、SAPを使ったシステムを導入する際、KPIツリーを作りました。EVA(経済付加価値)を頂点にして、そこにひも付く色々なKPIをツリーに並べたものです。この部屋の壁に掛かるぐらい大きなツリーです。ツリーに出てくる一個一個のKPIの計算式を定義してあります。
日高:世界中のKPIが日々見えるわけですね。
安部:日々の売り上げは当然見えますけれども、EVAはまだ年単位です。KPIを定義したといっても、すべてを一望するシステムにまだなっていない。今後そういうものも作っていかないといけませんね。
日高:できる範囲で結構見える化しているところはありますよね。
安部:例えば、工場では実際の在庫が生産計画と比べてどうなっているか、毎朝マルチスクリーンを見て確認できるようになっています。
日高:壁一杯に描けるKPIツリーを作って、それぞれを計測していこうという姿勢が科学的ですよね。それをやろうという意識もすごい。
安部:まだまだです。何を標準と定義して何は自由でよいとするか、標準化のときにある程度まで決めたわけですが、決めた通りにすぐできるわけではありません。徐々に深く取り組んでいくということです。標準化をするときに大事な点かと思います。
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