
(構成は谷島宣之=日経BP総研上席研究員、戸川尚樹=ITpro編集長)
日高:2016年12月に発表された中計(花王グループ中期経営計画「K20」)を拝見すると、かなりアグレッシブな成長を目指していますね。日用品や化粧品の分野で世界第3位になると社長自ら宣言するとはすごい。今は世界7位ですか。
安部:7位か8位ぐらいですね。今回の2020年に向けた中計「K20」では、その先にある2030年までにグローバルで存在感のある会社になりたいと申し上げました。また、正式には2030年までに5位を目指そうということです。3位まで行きたいというのは澤田(道隆代表取締役社長)個人の思いなのですが。
日高:でも会見でそう話されたわけですから、どうしても「3位」の話が記事の中心になりますね(笑)。5位だとしても、それを明確に訴えているし、場合によったらもっと上に行きたいとあちこちで発言されています。素晴らしくガッツのあるCEOですよね。
安部:我々のいる業界は競争が厳しいですし、変化も色々ある。そこを乗り切っていこうということです。
日高:少し前、クラフト・ハインツがユニリーバを16兆円で買収しようとしたがご破算になったと報道されていました。ひょっとするとアマゾン・ドット・コムがトイレタリー企業を買う時代が来るかも分からない。グーグルがP&Gを買収とか。本当に何が起きるか分からないですね。中計をどう進めますか。
安部:アグレッシブな中計は機関投資家・アナリストの皆さんからもご評価いただいていると思うのですけれども、それだけの商品を出し、実績を積んでいかなければなりません。研究も生産もそれぞれ大変ですし、売り上げを伸ばしていくとともに利益率も高めていこうとしています。となるとトップラインが伸びていく線とコストの増える線が平行では駄目だということです。
日高:中計に関連してプロジェクトがいくつか発表されました。「最新技術、最新インフラの活用」というプロジェクトがあります。ここは安部さんが全体を統括されているIT(情報技術)に関連するところです。最新の技術にどんどん取り組んでいこうというわけですからITに対する経営の理解がありますね。
安部:2012年にITを含め、研究やサプライチェーンといったコーポレートの機能については個々の国ではなく、グローバル全体を見渡して動かす、というふうに変わりました。我々システム部門としては非常にやりやすくなりました。ただ、ご指摘のプロジェクトについては始めたばかりで、お話できるような中身がまだないのですけれども。
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