地方の活性化は国全体にとっても重要な課題だ。地方創生の動きが活発になる中、民間企業はどのように取り組んでいるのか。NTTドコモで地方創生に携わる山崎浩司氏と佐々木翔氏、スマートライフ推進部でdポイントの利用促進を担当する南部美貴氏と佐藤瑠生氏に聞いた。

(聞き手は白井咲貴)

■お知らせ■
日経ビジネスは、読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を立ち上げました。その中のコーナー「オンライン・インターン」では、NTTドコモなど5社をメンターに迎え、学生の成長を支援するインターンプログラムを提供しています。ぜひ、ご参加ください。

<オンライン・インターン>
[NTTドコモ]ICTで住みやすい街をつくろう
財務省の仕事丸わかり
[ANA]快適なハワイへの旅、A380の機内サービスを考えよう
[三菱商事×ローソン]2025年のコンビニを考えよう
地域協創・ICT推進室の山崎浩司氏(左)と佐々木翔氏
地域協創・ICT推進室の山崎浩司氏(左)と佐々木翔氏
スマートライフ推進部の佐藤瑠生氏(左)と南部美貴氏
スマートライフ推進部の佐藤瑠生氏(左)と南部美貴氏

日経ビジネスRaiseの学生向けコンテンツ「オンライン・インターン」では、「ICTで住みやすい街をつくろう」をテーマに議論しています。NTTドコモはどのように街づくりに取り組んでいるのでしょうか。

佐々木翔・地域協創・ICT推進室第一・第二担当主査(以下、佐々木氏):ICT(情報通信技術)を活用して産業振興や行政サービスの効率化をはかり、住みやすい街づくりに貢献しています。日本では少子高齢化が進行しています。人口が減れば消費が低迷し、消費が低迷すれば給与も減り、それによってまた人口が減少します。経済が縮小していくのです。私たちは、この課題に対してICTを活用して寄与したいと考えています。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やAI(人工知能)によるビッグデータ解析などで、農業の効率化や観光業の振興を図り稼ぐ力を強化します。そのための資金を調達するためにも、ICTで行政の業務にかかるコストを削減しています。

同業他社も、ICTを活用した地方創生には取り組んでいると思います。違いは何でしょうか。

佐々木氏:私たちが意識しているのは、地域で輪をつくることです。プレーヤーが少ないとなかなか長続きしないように思います。当社と自治体だけでなく、地元の企業や大学、金融機関などと一緒に地域の課題を解決していくことを意識しています。ICTの知見を持った当社が入ることで、今まで見えなかったデータが見えるようになります。地域全体でデータを共有し一緒に解決策を考えていくのが当社の方法です。

具体的に、地域で輪をつくった取り組みはあるのでしょうか。

佐々木氏:今年7月から来年2月まで宮古島で実施中のキャッシュレス決済の実証実験には、地元のタクシー会社や商工会議所、地銀など複数の組織が携わっています。宮古島を訪れるインバウンド客は増えていますが、タクシーや飲食店、宿泊施設の多くが現金しか使えないため不便でした。そこで、スマートフォンを使ったクレジットカード決済システムを導入したのです。

山崎浩司・地域協創・ICT推進室第一・第二担当課長:タクシー会社によって取り組みへの熱量は違いますが、積極的に取り組んでいる会社は売り上げが伸びています。また、島内のホテルでは、宿泊客の「クレジットカード対応のタクシーを手配してほしい」というニーズに応えられるようになったようです。

 宮古島の例のように、1つの自治体でモデルケースをつくった後は、他の自治体に横展開していくつもりです。

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