若者の自信のなさは企業にも責任あり

吉田:日本の若者は諸外国に比べて、自分自身への満足度が低かったり、自信が持てていなかったりするといった調査結果があるそうです。私は理由の1つに、子どもが生まれてから物心つくまで、親の存在や意識が希薄になっていることがあるのではないかと思います。大元を治そうとするなら、親が子どもに対する時のあり方、ふるまい、意識、価値観を変えないとダメだろうと思います。親が「働くのは収入を得るため」「ちっとも楽しそうでない」と思っていたら、それは親を見ている子どもに伝わるでしょう。

ロペス:これは日本独自の問題ではなく、世界共通の問題です。10年以上前に初めて日本に来た時、「ニート」について知りました。実はスペイン語にも同じような言葉があります。先日、ニートはメキシコが世界で一番多いというニュースがありました。問題はまず家庭にあります。家庭で自信や夢をかなえようとする意識をはぐくむことが大事です。

 働くことの意義を子どもがきちんと理解していない現状があると思います。親が子供に「仕事に行ってくるね」と言うけれど、子どもは親がどこへ行くのか、あまり考えていないのではないでしょうか。それを学ぶのに、キッザニアは最適な場所です。

 キッザニアには「経済圏」があります。今、世の中にはクレジットカードやデビットカードがあり、お金を得るためには銀行に口座を作り、そこに給料が振り込まれることが必要です。そのために仕事をして収入を得る。キッザニアはそれを教えています。子どもは、お金の価値について、高い・安いしかわかりません。そのお金を得るために、どのくらいの努力や労働が必要なのか。例えばもっと余裕がある暮らしをしたければさらなる収入が必要だと、知るわけです。

 将来のための準備も必要です。最近新設しているキッザニアは中に大学を設置していて、ここで必要なことを学び、卒業証書をもらえば、さらに収入を得ることができると教えています。

 キッザニアには、働いて収入を得る場所とそれを使える場所があります。メキシコやインドネシアでは、入場した5割の子供が働いて、残りの5割がお金を使っています。ところが日本の子どもは皆働いて稼ぐばかりなのです。ですから、もっと使う方に誘導するようプログラムを変えたことがありました。日本の子どものそういう姿勢は、世界中の子どもが学んでほしいものなのですが。

 若者に元気がないのは、企業にも責任があります。世界中のCEOに、「会社の一番の資産は何か」と聞けば、人材と答えるでしょう。しかし本当にそう思っているのでしょうか。時間や努力を投入して、企業と従業員がウィンウィンの関係になるようにしていくことが大事です。会社の成長は、経済的なメリットを分かち合うこと、そして、仕事の楽しみを分かち合うことであるべきです。世界中が取り組むべき問題だと思います。

 私はかつて通っていた、ケロッグ経営大学院の商談のクラスで、ビジネスではウィンウィンの関係が大事だと学びました。キッザニアではその考えが生きています。子どもはロールプレイで学び、親は安全で楽しい学びを子どもに与え、仕事の価値やスキルを教える。スポンサー企業にとっては、入場者であるお客様と新しい接点を持つことができます。キッザニアが入っているショッピングセンターは、他との差別化を図れます。キッザニアはフランチャイズチェーンビジネスなので、フランチャイジーによいツールを与えて、ビジネスを展開してもらうといった具合です。

吉田:ウィンウィンの話に関連していえば、YKKには労働組合がないのです。従業員が株主、経営者、労働者の3役をしているイメージで、ウィンウィンウィンとなるようにしており、日本の中ではちょっと変わった会社ですよ。

ロペス:全ての企業が、従業員にもっと投資すべきでしょう。キッザニアはサービス産業で、人材こそが大切です。従業員を巻き込んで長く歩んでいきたいと思います。この点でYKKはお手本になります。

吉田会長CEOとハビエルCEOは、時期は違うが、米国のケロッグ経営大学院で学んだ。吉田会長は、学生が経営者と労働者に分かれてディベートするクラスに影響を受けた。YKKには労働組合がないが、学んだことを生かしているという