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「よく分からないけれど、国のお金に関する仕事をしている?」「ドメスティックなイメージが強い」「お堅い印象」――。日経ビジネスRaise「オンライン・インターン」で財務省のプログラムを始めるにあたり、学生に財務省の印象について聞いてみた結果だ。実態はどうなのか。入省10年目、現在は採用活動などに携わる後藤優弥氏に聞いた。
(聞き手は白井咲貴)

■お知らせ■
日経ビジネスは、読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を立ち上げました。その中のコーナー「オンライン・インターン」では、財務省や民間企業5社をメンターに迎え、学生の成長を支援するインターンプログラムを提供しています。ぜひ、ご参加ください。

<オンライン・インターン>
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秘書課の後藤優弥課長補佐。2009年入省

「財務省」と聞くと、「電卓をたたいて細かいお金の計算ばかりしている」というイメージがあるようです。実際はどうなのでしょうか。

後藤優弥・財務省秘書課課長補佐(以下、後藤氏):たしかにそのようなイメージは持たれやすいのかもしれませんね。財務省の主要な仕事の1つは、翌年度予算の編成ですが、その過程で細かいお金の計算をしていると思われるようです。ですが予算編成の過程では、「計算」というより「交渉」や「提案」が大きな任務です。

 毎年夏になると各府省庁から「翌年度はこの分野にこのくらいの予算が欲しい」という要求が寄せられます。「概算要求」と呼ばれるものです。各府省庁はそれぞれの思いがあって予算を求めてきますが、国家予算は限られていますからすべての要求を通すことはできません。「本当に今やらなければならないことなのか」「地方自治体や民間企業に任せることはできないのか」「予算以外の手法はないのか」などあらゆる可能性を探ります。相手と話し合って落としどころを探ったり、時には相手が思いも寄らなかった手法を提案したりします。財務省の仕事においてはデスクワークだけでなく、「交渉」や「提案」も大切です。

 民間企業でいうと、経営企画室に近いかもしれません。国の経営を担っていると思います。国全体を見て、そして将来世代の繁栄まで考えて働けることにやりがいがあります。

デスクワークだけではないことは分かりましたが、仕事の幅は広いのでしょうか。日経ビジネスRaise「オンライン・インターン」で財務省のプログラムを開始するにあたって大学生に聞いてみたところ、「予算編成をする省庁」との印象が強いようです。

後藤氏:財務省の仕事は予算編成だけではありません。私は入省10年目ですが、国債から途上国支援まで様々な業務に携わってきました。働く場所も財務省本省だけでなく、福岡国税局や防衛省など1~2年ごとに大きく変わってきました。

途上国支援にまで携わるのですか。財務省の仕事を知るためにも、後藤さんのキャリアを教えてください。

後藤氏:はい、私は2009年に入省しました。その前年に就職活動した際は先に外資系投資銀行に内定を得ていましたが、ちょうど金融危機が起こり、「働くとは何か」を考え直すようになりました。改めて考えたとき、「今自分がここにいられるのは、世の中のいろいろなものに支えられてきたからだ」と気づき、公務への思いが芽生えました。公務の中でも財務省を志望したのは、国全体に何らかの形で貢献したいと思ったからです。

 入省後は理財局の国債企画課に配属されました。国債発行を通じて国の安定的な資金調達を支えるのが仕事です。入省3年目には福岡国税局に出向し、企業の税務調査に携わりました。本省で見る数字は、何兆円といった大きなものばかりです。ですが、その巨額のお金もごく小さな額の積み重ねです。納税者に近い場所で働き、そのことを実感できたのは、とても良い経験でした。

若手時代に学んだことはありますか。

後藤氏:専門的な知識や能力も磨かれましたが、何より行政官として大切なことを学びました。「一歩深く物事を考えること」、そして他省庁や民間企業と連携する業務が多いので、「きちんとスケジュール管理をすること」が大切なのだと何度も教えられました。こうした経験が今の自分の土台になっています。