アジアで最大のシェアを取る

:旅行業でもオンライン販売などで技術革新が進んでいます。

:時代を先取りするシステムを作り上げていくこととそのための人材を確保することは最も重要になっていきますね。店舗を持ち、何千人ものスタッフが商品を販売する時代は半分以上、終わっています。今や、スマートフォンからお得な価格、ツアー情報など最新の情報を誰でも簡単に入手できます。そして、そこから予約が入ってきます。ですから、このようなシステムを持っていない会社は勝てないと思います。

 例えば20店舗で400人のスタッフがいるとします。一方、オンライン予約サイトは10分の1の40人で運営して同じ販売量を上げることができるとすれば、生産性は10倍になります。

:競争のルールが激変しています。

:完全に変わってきています。小売業における米アマゾン・ドット・コムのように、一瞬にして新しい会社に市場を押さえられ、競争を繰り広げていた既存の事業者は結果的にガラパゴスのように取り残される。旅行業界では世界的な予約システムを持った旅行会社が欧米市場を席巻しました。しかしアジアにはまだそこまで進出していない。アジアは世界最大の市場になると考えています。オンライン旅行会社として最大のシェアを何としても取りたい。

:澤田社長は今年66歳になりました。後継者を含めて今後、人材が育ってくるかどうかが重要ですね。

:企業は100%、人ですね。会社は社長次第。スタッフも大切ですがトップですべてが決まります。結果を出せなかったらトップを代えるしかない。トップが創造的なことにチャレンジしていかないと停滞していきます。私はグループ会社などの経営を人に任せたら一切、口を出しません。私が手を出すと頼ってきますからね。その代わり結果で評価します。経営は大変だけど楽しい。だから自分がやるときは100%自分でやります。

傍白

 初めてお会いしたのは17年前。東京・麹町の寿司屋でお見かけし、ご一緒させていただきました。小さなテーブル越しに向かい合うと、相手を圧倒するような強い眼の力が印象的でした。60歳代も半ばを過ぎ、さすがに眼はいくぶん柔和になったように感じます。しかし、事業への意欲はますます強まっているのではないでしょうか。

 まるで少年が学校の裏山に作り始めた秘密基地の話をするかのように、実に楽しそうに経営や事業のアイデアを次々話してくれます。経営することが趣味、生きがいなのでしょう。1980年に生まれたベンチャーがあの日本交通公社、JTBを抜くまでになった原動力はここにあります。元気な限り実質的なトップ交代はないでしょう。