ロボットカフェを渋谷に開く

:既存の事業に全く関係ないように見えて実はつながっているのですね。

:そうです。ハウステンボスは、欧州の都市国家であるモナコ並みの面積があり、都市機能がここに全部そろっているのです。ハウステンボスで実験したことを新規事業につなげます。ロボットもここで実験してから、展開し始めました。近く東京・渋谷でロボットカフェの出店も計画しています。

 日本では産業ロボットは進んでいますが、サービス業でのロボット導入は遅れています。このため、当社で活用するだけではなく、他社向けに新たなビジネスになると見ており、新会社『ハピロボ エスティ』を設立しました。ロボット事業ではAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)が重要ですから、専門家を集めて開発チームを作っており、世界のロボット会社との提携も進めています。

:ロボットを、ホテルなど実際の事業で活用してみて何か発見はありましたか。

:例えばホテルのフロントで使うロボットは365日24時間働きますから耐久性が重要になります。格好いいロボットでなくともローテクでもよいのです。現場で使ってみると実用性があるかどうかすぐに分かります。ロボットの横に人が付き添っていないと使えないような製品ではダメなのです。

 ただ、ロボットに業務を完全に任せるのは難しいので、8割の仕事をロボットにやらせて残り2割は人間がやります。それでも、人数あたりの生産性は5倍になります。変なホテルでは200機のロボットが働いて、人間とうまく分業しています。

:ハウステンボスの経営再建を打診され、当初は断った経緯があります。

:なぜ、長崎県佐世保市のあの場所に作ったのか、立地が間違っています。周辺の人口が多いこと、交通アクセスの良さ、といったテーマパークに必要な条件をことごとく外しています。

 黒字化の基本はコスト削減と売上高の向上、つまりいかにお客を増やすかです。カギとなるのはイベントです。競合の東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンにないオンリーワン、ナンバーワンのイベントをどんどん仕掛ける。そうしないとわざわざ佐世保まで来てもらえない。集客にかなり苦労はしましたが、新規事業を生みだす意味でもハウステンボスを手に入れてよかった。広大な私有地ですから、電気自動車やドローンなど自由に試すことができます。スタッフは園内をセグウェイで走っています。

:次から次へとやりたいことが沸いてきているようですね。

開発中の水上移動式ホテル。無人島への移動で利用

:そうですね。例えばハウステンボスでは沖合にある無人島を購入しました。球形の水上移動式ホテルを用意して夜間に移動して朝、この島に上陸します。ここで朝食を食べて優雅に楽しむプランを考えています。いわば『変なホテル』の新版です。実現したら面白いでしょ。趣味じゃないですよ。来年1月に完成させテスト宿泊を始めます。

:昨年11月、HISの社長に12年ぶりに復帰しました。人任せではなくやはり自分でやりたいと考えるようになったのですか。お話を伺っているとそれが一番の理由に思えます。

:私自身、ここ数年はハウステンボスの経営に専念せざるを得ない状況でしたが、経営を立て直して、業績を伸ばしてきました。運営を任せられる若い社員も育ちました。一方、旅行業のHISの業績は伸び悩み停滞が始まりました。世界一を目指して新たな世界戦略を進めるには、インバウンド、海外旅行、ホテル業などすべてを把握できる人材が必要ですがまだ育っていないため、じゃあ、僕が1回、社長に戻ってやりましょうという話になりました。

 日本発の海外旅行取扱額で今年2月にJTB(グループ15社)を抜き、旅行業界で首位になりました。ですがそこで満足せず、世界有数の旅行会社にしないと今後、戦っていけません。