インバウンド政策に偏り過ぎ

:日本人の海外旅行者数は2012年がピーク(1849万人)で、それ以降、減少に転じています。かつて若い人がバックパッカーとして、どんどん旅に出たころとは、意識が変わっているのでしょうか。

:日本が内向きになってきていると思います。例えば韓国は人口約5000万人と日本の半分以下ですが、海外に出かける旅行者は年間2000万人程度といわれ日本よりも多いそうです。旅行して世界を見ると創造的になり挑戦する気持ちも養われます。特に若者が内向きになることは、日本経済を成長させる上でもよくないことだと思います。

 政府は今までイン バウンド(訪日外国人客)を増やすことを重視してきましたが、同時に日本から海外への旅行客も増やさないとバランスが悪くなる。海外旅行についてもしっかりと政策を打ち出してもらいたい。

:売上高は2017年10月期に5800億円の見込みですが、20年には約2倍の1兆円に増やす中期目標ですね。

:1兆円の目標達成はそんなに難しくないと思います。3年間の時間があり、来年には7000億円を超えると思います。海外や新事業を成長させれば積み上がっていきます。海外では特にタイ、ベトナム、インドネシアなどアジアを強化しています。昨年10月、M&A本部を設置し、今年4月には欧州での旅行手配を手掛けるミキ・グループの持ち株会社を子会社化しました。売上高が約800億円の会社です。中期目標の達成にこうしたM&Aは有効です。

:それでも1兆円はかなり高い目標に見えます。実現は簡単ではないはずです。

:できる、できないは置いておいて、高い目標は必要です。富士山を目標にする人はいつか富士山には登れるでしょうが、エベレストには登れない。エベレストを目標にして、そのための訓練や準備をすれば、いつかは登頂できるかもしれません。売上高を1兆円にすることは現在の延長では無理ですから、どうすれば目標が達成できるか社員全員が考えるようになります。

:数多い新規事業の中で特に注力しているものは何ですか。

今年8月、愛知県蒲郡市に開業した「変なホテル」

:今、最も力を入れているのはホテル事業です。現在、30カ所で運営しており、まずは100カ所にするのが当面の目標です。ロボットを導入した『変なホテル』の3号店を今年8月に愛知県蒲郡市に開業して、今後1年以内に東京に5~6カ所、大阪に2カ所作ります。うまくいけばホテル事業の世界展開を進め全世界で1000カ所を目指します。

:電力事業も手掛けています。どこから発想したのですか。

:ハウステンボスを運営していて『何でこんなに電気代が高いのか』と痛切に感じました。特に夏場は非常に高い。だったら自分で電力会社を設立して発電所を作ろうと考えたのです。電力を販売もするし自社の施設でも使う。来期には売上高100億円程度になる見込みで、次の事業の柱にしようと思います。リチウム電池と同等の性能を持ちながら製造コストを大幅に削減できる植物を材料に使った電池も開発中で今秋から実際に使うつもりです。