公務員でも「副業」しやすく

今年は「副業解禁元年」とも言われています。県の取り組みはどうでしょう。

<span class="fontBold">長野県人事課の竹鼻 守(たけはな・まもる)企画幹</span>(写真=林 安直)
長野県人事課の竹鼻 守(たけはな・まもる)企画幹(写真=林 安直)

竹鼻 守氏(以下、竹鼻氏):地方公務員法の38条は1項で、県知事や教育長といった任命権者から許可を得なければ、職員が副業をして報酬を得ることはできないと規定しています。そのうえで2項で、許可基準は各自治体の人事委員会で定めることができる、としています。この制度が変わらない限り「全面的な副業解禁」はあり得ません。

 ただ、18年度を初年度とする長野県総合5か年計画のなかで、「学ぶ県組織への転換」を打ち出しました。この一環で9月からは、職員の副業を後押しする新制度を始めました。地域に飛び出して社会貢献活動に従事することで、「1人多役」の意識を身に付ける。そこで学んだことを県行政のサイクルに生かすことを目指しています。

具体的な動きは出てきているのですか。

竹鼻氏:県としては今回、副業を許可する基準を明確にしました。対象となるのはもちろん「地域社会に貢献する活動」。そのうえで、休日など勤務時間外に活動すること、活動団体との間に特別な利害関係が生じる恐れがないこと、宗教的・政治的な活動でないこと、報酬の金額が社会貢献活動として許容できる範囲であること。この4つの許可要件を定めました。申請段階で、活動の内容や期間、報酬の水準などを聞き取りますが、実績報告は義務付けていません。

 実は、新制度をつくる前でも、許可を得れば副業はできました。それでも申請はありませんでした。やはり、公務員が報酬を得ることに抵抗があったり、最初から「できないもの」と思い込んでいたりした人が多かったのでしょう。県としてはこれまで曖昧だった許可基準を見直し、明確な形にしたわけです。「プライベートな時間を社会貢献活動に生かしてみませんか」と呼びかけています。申請はこれまでのところ2件。1人は中学校のソフトテニス部の指導者、もう1人は地域のイベントなどでバルーンアートを子どもたちに配る活動です。もっと広がると考えています。

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