働き方改革の掛け声の下、日本企業の間で様々な実例が積みあがってきました。一方で国や地方自治体といった「官」の取り組みは、出遅れや腰の重さが指摘され続けています。そんな中で朝型勤務を自治体としていち早く取り入れるなど、改革に熱心な長野県。県の人事担当者に現状と狙い、効果などを聞きました。この秋からは、職員の副業の後押しも始めています。(聞き手は奥平 力)

■お知らせ

「新しい働き方」対話イベントを開催します

日経ビジネスRaise Live 「新しい働き方を考える」 参加者募集
テーマ:「新しい働き方」
第一部:パネルディスカッション『働き方改革の理想と現実』
登壇者
(予定、50音順)
- 竹花元・法律事務所アルシエン パートナー
- 田澤由利・テレワークマネジメント代表
- 西村創一朗・複業研究家、HARES代表
- 堀達也・経済産業省経済産業政策局産業人材政策室 室長補佐
- 三村真宗・コンカー社長
第二部:ワークショップ「副業成功のポイントと課題は?、テレワークでオフィスは不要?……、プロに聞く『新時代の働き方』」
※5グループ程度に分かれてワークショップ。アジェンダは当日発表予定
第三部:参加者による交流会
日時:11月30日(金) 18:30~20:30
場所:東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 8F
公募人数:40人程度
参加費:無料
>>参加申し込みページへ
(写真=渡辺広史/アフロ)

長野県が進める働き方改革。その進捗はいかがですか。

長野県人事課の伊豫田 暁史(いよだ・あきふみ)補佐(写真=林 安直)

伊豫田 暁史氏(以下、伊豫田氏):「仕事改革」の庁内プロジェクトチームをこの秋、立ち上げました。仕事の見直しをし、働き方の改革につなげ、職員のワークライフバランスを確保する。これが基本的な考え方です。業務改善については人工知能(AI)の活用なども考えられますが、「まずは身の回りにあふれている書類を減らす」点を重視しています。書類を電子化してペーパーレス化を進めるというより、一人で仕事を抱え込んでしまう事態を防ぐことに主眼を置いています。一人が不在にしていても、同じチームの人間が対応できる態勢を目指しています。ある人がミスを繰り返すといったケースの予防にもつながります。

先駆的「ゆう活」 生産性向上にも寄与

夏の時期に朝型勤務を推奨する「ゆう活」は、先駆的だったと聞きます。

伊豫田氏:政府は2015年、国家公務員を対象に「ゆう活」をスタートさせました。これに合わせて長野県も15年夏に試験導入しました。この取り組みは全国の都道府県の中でも先駆的だったと自負しています。通常の勤務時間は「午前8時半から午後5時15分」。まず出勤の時間について、午前7時半から同9時半の間で自由に選べるようにしました。試験導入後は今度、選択の幅を午前7時15分から同10時に広げ、夏季に限らずに年間を通して時差勤務ができるようにしました。行政サービスの低下につながらないよう、所属長が職員の時差勤務の可否を判断し、人繰りを調整する仕組みにしています。

 時差勤務の導入はもともと、子育てや介護をしている職員への配慮やワークライフバランスの確保が狙いでしたが、「早朝に出勤すれば電話もかかってこないし来客もないため仕事に集中できた」「先に退庁する職員の仕事を引き継ぐ必要があるため、結果としてチーム内の助け合いや業務連携が進んだ」。こんな声も聞かれます。生産性の向上にも寄与したと考えています。

民間企業では、テレワークやサテライトオフィスの活用といった事例も相次いでいます。

伊豫田氏:長野県でも16年6月から、テレワークによる在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を本格的に実施しています。テレワークにあたっては専用のパソコンを15台用意し、職員に貸し出しています。セキュリティを確保するため、このパソコンで庁内ネットワークにつながりますが、本体にデータを落とすようなことはできません。サテライトオフィスは長野市にある本庁舎のほか、県内各地域にある合同庁舎など計13カ所に設けています。17年度の実績は、テレワークによる在宅勤務が延べ93回、サテライトオフィスでの勤務が延べ461回でした。