日米、米韓同盟を揺るがす事態も…

米国が軍事力を使用し、それがエスカレートする事態は誰も望んでいません。

べーダー:そうですね。そして、この先、何が起こるのかは誰にも分からない。すべては推測の域を出ません。

ただ、米国が先制攻撃をすれば、日本と韓国にも被害が及びます。それは日米同盟や米韓同盟を揺るがすことにつながります。

べーダー:米国による先制攻撃に対する強い反対論には2つの種類があります。一つは、北朝鮮が韓国と日本、もしくはそのどちらかに軍事力を使用する可能性があることです。どちらの国を選ぶか、そして、どの程度の規模の攻撃をするかは、分かりません。しかし、金委員長がこれを選択する可能性はある。韓国人や日本人、そして米国人が死に至る事態も考えられるでしょう。

 米国が先制攻撃をすれば、各国の市民が影響を受けることもあり得る。そうなれば、人々は米国を非難することでしょう。それは理解できることです。そして、被害の規模にもよるでしょうが、日米同盟や米韓同盟に甚大な影響を及ぼすことも考えられる。

 人命が失われることに加えて、同盟関係が揺らぐことになれば、致命的な事態になります。ゆえに、金委員長は反撃する気を起こすでしょう。一方、もし、反撃しなければ、、同盟は強固なものになります。金委員長にとって、それは受け入れがたい。それゆえ、金委員長は反撃する必要があるのです。彼は、米国をエスカレートさせない手段で反撃を試みるでしょう。容易なことではありませんが、金委員長はこれを望む。

第3の道は「封じ込め」と「抑止」と「圧力」

ここまで、核兵器を放棄するよう北朝鮮を説得することは困難、米国の先制攻撃は日米・米韓同盟を揺るがす危険を伴うと伺ってきました。とすると、米国は北朝鮮を核保有国として認めることになるのでしょうか。例えばパキスタン*のように。

*:パキスタンは核兵器を保有するとされるが、米国は現在、強力な制裁などをかけていない

べーダー:その点について、いくつか論文を書いたことがあります。個人的には、米国は北朝鮮に対して「封じ込め」「抑止」「強硬圧力」で望むべきだと考えます。

 対話による解決は困難。軍事攻撃がもたらす代償は甚大。となれば、封じ込め、抑止、強硬圧力の組み合わせが第3の選択肢となります。これは論理的帰結です。強力な圧力、真の意味で強い圧力をかければ、多くのことを成し得るでしょう。

 例えば完全な禁輸措置が望ましい措置です。秘密工作を講じて、金政権を不安定にするのも好ましい一手。北朝鮮が核開発計画を縮小・廃棄する時まで、もしくは縮小・廃棄しない限り、北朝鮮に対して安全と体制を保証してはならないのです。

 米国や他の国の高官が「我々は北朝鮮の体制転換を求めてはいない」と発言しています。このような発言はすべきではありません。もし北朝鮮が交渉のテーブルに着かない時、安全保障と防衛に関して我々が取り得る全ての手段を残しておくべきです。その中にはミサイル防衛システムの相当な強化が含まれます。

 かつてのソビエト連邦のケースを振り返ると、政権が崩壊までに数十年かかりました。ソ連は、いま私が言及したような強力な圧力にさらされることはありませんでした。そして、強力な圧力の下で追求する目的は北朝鮮の体制転換です。内戦を経て実現するかもしれないし、体制が自壊するのかもしれません。

 いずれにしろ、我々がコントロールできるものではない。しかし、成果なき交渉も軍事行動も危険を招く。この第3の選択肢がより妥当ではないでしょうか。