軍事力の使用はエスカレーションの危険をはらむ

米国が先制攻撃をするとしたら、どのような条件が整った時でしょう?

べーダー:これは2つの質問ですね。一つは、どのような条件が整った時に米国が先制攻撃に踏み切るべきと私が考えているか。もう1つは、どのような時にトランプ政権が実行するか。

 私の考えは、北朝鮮が核弾頭を搭載するICBMの発射準備をしようとした時です。攻撃目標がどこか分からなくても、十分な脅威となります。我々は対応しなければなりません。

 具体的な手段はいろいろ考えられます。一つは、飛行中のICBMを打ち落とすこと。もう一つは、ICBMが発射台にある時に攻撃すること。第3はより範囲を広く取り、北朝鮮が核・ミサイル開発に使用する施設を攻撃対象にすること。この三つの範疇に入る手段であれば正当化されると考えます。

 トランプ政権が考える先制攻撃もしくは予防攻撃を可とする条件や環境は異なるかもしれません。ちなみに、先制攻撃(pre-emptive strike)と予防攻撃(preventive strike)は異なります。先制攻撃は急迫不正*の危険があるときに行うもの。他方、予防攻撃は、将来に起こるかもしれない危険を、事前に取り除くべく実施する攻撃です。

*:侵害が差し迫った状況にある状態を表わす法律用語

 先制攻撃であれ予防攻撃であれ、米国が軍事力を使用するよう説く人々は北朝鮮が取るであろう反応を過少評価していると思います。金正恩委員長が自殺行為に及ぶことはないという議論があります。本格的な戦争につながるような反応をすれば、同氏の生命も危機に陥るし、政権も継続できなくなる。この見方は正しいと思います。

 ただし、私は異なる見方をしています。金委員長が、フルスケールの戦争には至らない範囲で米国に反撃するすべがあると計算する事態です。これが起こる可能性は非常に高いでしょう。金委員長の視点から見れば「釣り合いの取れた反撃」で、米国と韓国が再反撃することはない。しかし、このような事態に陥れば、双方において、計算違いが起こる可能性が生じます。

米国が先制攻撃をする場合、どのようなオプションが考えられるでしょうか。北朝鮮の核関連施設だけを対象にする。通常兵器を含む軍事施設全般を対象にする。もしくはピョンヤンの市街を…

べーダー:それは分かりません。米軍は様々な状況を想定し、様々なオプションをトランプ大統領のために用意しているでしょう。そして、トランプ大統領がどのような環境において、どのオプションを選ぶか、それは分からないことです。

 米国が取る手段について様々な推測がある中で、こんなものがあります。米国は北朝鮮にメッセージを送る目的で軍事行動を起こすかもしれない。メッセージは「米国は北朝鮮の動向を注視している。核開発計画を継続するならば、その代償を支払う必要がある」。これはメッセージを伝えるもので、フルスケールの戦争には至らない。このオプションが選択される可能性が高いかどうかは分かりません。