冷戦の最前線に置かれたドイツとこれからの日本の類似点

お話を伺っていると、これから日本が直面するかもしれない状況が、80年代のドイツとかぶります。

 ソ連は西欧を射程に収める中距離核ミサイル「SS20」を配備。これは西欧諸国の脅威となるものの米本土には届かない。ソ連による欧米離間を懸念する西欧諸国は、中距離核戦力を欧州に配備するよう米国に働きかけました。米国はこれに応えて弾道ミサイル「パーシングII」を配備した。この措置が抑止力となり、INF廃棄条約の締結とその後の冷戦終結につながりました。

川上:まさにそうですね。

 ただし、東アジアで日本が受ける脅威は、それ以上に広範です。中国と北朝鮮が核兵器を保有。加えて、ロシアがSSC8を極東地域に配備する可能性も出てくるでしょう。

 かつて、INF廃棄条約の調印と前後して、ソ連が極東にSS20を配備する計画が持ち上がりました。これを恐れた中曽根康弘首相(当時)がロナルド・レーガン大統領(同)を説得。レーガン大統領がソ連と交渉し、この動きを抑えたことがありました。今回も、そうした説得や交渉が可能になる保証はありません。

INF廃棄条約が破棄され、ロシアがSSC8を極東に配備すると日本は、冷戦期に欧州の最前線を担ったドイツと同じ思いをすることになります。

川上:そうですね。

 当時のドイツはこの脅威に対抗すべく、米国と核シェアリングする道を選びました。日本にもその選択肢がなくはありません(参考記事「米安保戦略を読む、実は中ロと宥和するサイン」)。

長期的視点に立つと、中国が強大となり、米国との間で「ツキディデスの罠」が起こりうる状況に至った。短期的には、トランプ氏が大統領となり、ネオコンに連なる人々を周囲に配した。これらが重なって今の状況が生まれた。そして、日本には非核三原則の見直しを迫られる可能性が生じるわけですね。

川上:おっしゃるとおりです。

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