大和証券グループ本社は今年4月にSDGs推進室を発足させ、小中高生などに向けた金融教育にも取り組んでいる。日本では「お金」について教育現場で話すことにいまだ抵抗があるとされる中、金融教育の意義をどう伝えていくのか。経営企画部SDGs推進室の川那部留理子氏と布川眞理子氏に聞いた。

(聞き手は白井咲貴)

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大和証券グループ本社は今年4月、経営企画部内にSDGs推進室を設置しました。従来は広報部がCSR活動として担当していた領域を、継承・発展させる形で発足したと伺いましたが、このタイミングでSDGs推進室を新設した理由は何でしょうか。

川那部留理子・経営企画部SDGs推進室長(以下、川那部氏): 2015年に国際連合でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されてから、日本でもSDGsに取り組む動きが広がっています。昨年11月には経団連が、会員企業の行動規範を記した「企業行動憲章」を改定し、SDGsの要素を取り入れました。証券業界でも流れは一緒です。昨年秋くらいに、業界団体である日本証券業協会がSDGsに取り組んでいくことを前面に出し始め、「証券業界におけるSDGsの推進に関する懇談会」を立ち上げました。

 そのような流れの中、当社も今年2月、社長の中田誠司を委員長とした「SDGs推進委員会」を発足させました。その事務局という立て付けで今年4月に発足したのがSDGs推進室です。広報部がCSRとして担当していたものを引き継ぎながらも発展させようとしています。

経営企画部SDGs推進室長の川那部留理子氏

大和証券のSDGsへの取り組みとして特徴的なものは何でしょう。

川那部氏:もちろん各社いろいろな取り組みをしていると思うのですが、当社の特徴としては、SDGsの17の目標を3つにグルーピングして、ほとんどすべてに何らかの形で取り組もうとしているところでしょうか。金融はどの分野とも関係があります。私たちのような総合証券ですと、いわゆるリテールの個人客から、債券を発行する国際機関までステークホルダーも非常に幅広いです。他の企業ですと、SDGsの17の目標のうち「これとこれとこれに取り組みます」ということもあるかと思うのですが、当社であればすべてに取り組んでいける。

 そこで17の目標を「金融」「テクノロジー」「地方」という3つのテーマに分け、それぞれのテーマにどう取り組むか考えています。

 金融は本業ですし、テクノロジーは今フィンテックの勃興で切っても切り離せない関係にあります。今年4月にフィンテックを活用したサービスを展開する新会社「Fintertech(フィンターテック)」を設立するなど、テクノロジー分野に注力しています。また、全国に拠点を持っていますので、自治体や地元の金融機関・企業などと連携しながら地方に貢献していきたいです。さらに、今後は「ライフ」も4つ目のテーマに据えたいと思います。当社は女性活躍に関して長い歴史がありますが、女性が働きやすいということは男性も働きやすい。入り口としては女性活用でしたが、今は誰にとっても働きやすい環境を目指していきます。

「金融教育」にも、SDGsの一環として取り組んでいます。

布川眞理子・経営企画部SDGs推進室(以下、布川氏):取り組む枠組みとしては、社会貢献からCSR、SDGsと変遷はありますが、以前から実施しています。やはり金融機関の本業を通じて社会に貢献していくという意味では、金融教育は大切です。

具体的な取り組み内容は。

布川氏:日本文化教育推進機構と協力して小学生向けの教材を作成しています。また、ジュニア・アチーブメントという団体が中高生向けに実施するファイナンス・パークというプログラムがあります。学校などを会場として仮想の街を作るのですが、その街での生活を通して家計のやりくりを学ぶものです。当社はその街に模擬店舗を出しています。ファイナンス・パークは東京都品川区や宮城県仙台市などに展開し、約10年で11万人以上の生徒が体験しました。

川那部氏:当社が修学旅行で東京に来る中高生の見学を受け入れることもあります。布川が業界では有名人で、先生とのネットワークもできているので、「修学旅行で東京に来るので、証券会社の仕事を教えて欲しい」と。

布川氏:工場見学などはしたことがあっても、証券会社に入ったことのある生徒はまずいないですからね。ディーリングフロアも見学してもらい、証券取引所というマーケットを通じて株取引をしているといったことを説明しています。

川那部氏:教員向けの研修をしているのも当社の特徴ですね。金融に関して正しい知識を身につけて自分で判断できるようになりましょうと言っても、実際に教えるのは先生ですから。先生と生徒、その両面にアプローチしています。