味の素グループは、長年のアミノ酸研究をもとに、化粧品や飼料など様々な事業を展開している。その中の1つが、血液中のアミノ酸の濃度を分析・解析することでがんである可能性や糖尿病の発症リスクを評価する検査「アミノインデックス」だ。社内外の数十の組織が関わったオープンイノベーションの先駆けとも言える事業。事業化の過程を、立ち上げ期から携わった安東敏彦氏に聞いた。

(聞き手は白井咲貴)

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<オンライン・インターン>

アミノサイエンス事業本部アミノサイエンス統括部アミノインデックスグループの安東敏彦氏。事業立ち上げ期から携わった

味の素は、「アミノ酸」を起点に、食分野だけでなく化粧品や飼料など様々な分野で事業を展開しています。新規事業の1つとして2011年に事業化したサービス「アミノインデックス」は、「アミノ酸濃度でがんなどの病気の可能性を評価する」というものです。味の素としては初めてづくしのプロジェクトと伺いました。まずは、アミノインデックスとは何かを教えてください。

安東敏彦・アミノサイエンス事業本部アミノインデックスグループ(以下、安東氏):アミノインデックスとは、人間の体内にある20種類ほどのアミノ酸の濃度を分析することで、病気の可能性を評価するサービスです。1回血液を採取するだけで、複数の病気の可能性を同時に調べることができます。様々な病気の可能性の評価に使えるのですが、アミノインデックスで現在対象としているのは、胃がんや肺がんなどの複数のがんと糖尿病です。11年にサービスを世に出してから、今では約1300の医療機関に採用されています。

アミノ酸の濃度によって病気の可能性を評価できる、というのはそれほど画期的なことなのですか。

安東氏:もちろん血液を採取して病気の可能性を調べる検査方法はすでにあるものです。「血液中に物質Aが増殖しているから、病気Bである可能性が高い」といったような検査です。その場合の研究の焦点は、病気と関係する物質をいかに見つけるかでした。ですが、アミノインデックスは、体内のそこら中に存在するアミノ酸を使って病気の可能性を評価しようというものです。また、従来の検査と違い、1回の検査で複数の病気の可能性を調べることができます。私たちは、「肺がんの人の場合は、肺がんでない人に比べてアミノ酸Aとアミノ酸Bの濃度が高くなる」「子宮がんの場合はアミノ酸Cとアミノ酸Dの濃度が高くなるが、アミノ酸Eの濃度は低くなる」といった濃度のパターンを解析し、判別式も作りました。ですから、血液中の約20種のアミノ酸の濃度をそれぞれ調べることで、複数の病気の可能性が分かるのです。