要望書は、英国とEUとの間の単一市場が継続することを求めています。この要望が受け入れられない場合は日系企業が移転する可能性もあると言及しています。英国メディアがこの点を大きく報じました。日立はこの点も日本政府と同じ立場を取るのでしょうか。

今後の論点を注意深く見ていく

ドーマー:いいえ、この点は違います。我々は鉄道事業の本社を英国から移す考えはありません。現状は、英国とEUで日立のビジネスは順調に進んでいます。それに日立レールイタリアが加わったことで、我々はEU加盟国内にも生産拠点を持つことになりました。多少のリスクヘッジになるでしょう。いずれにしても、今のところ本社機能を移す理由がありません。

 繰り返しますが、まだ何も見えておらず、具体的な議論を始める段階にはありません。今後、どのような論点が浮上してくるのか、注意深く見ていく必要があると思います。

Brexit前にはデービット・キャメロン首相(当時)やジョージ・オズボーン財務相(同)が日立レールヨーロッパの工場を訪問するなど、政権との距離が近かったと思います。新しいメイ首相との関係はどうでしょうか?

ドーマー:メイ首相は、とても良識のあるリーダーです。政権との関係構築はこれからですが、新政権は英国のインフラ投資の重要性について認識していると思います。

 現在のフィリップ・ハモンド財務相は、運輸相時代にIEPを承認した人物です。個人的には良いスタッフが新政権に揃っていると思います。

鉄道事業が掲げている経営目標に変更はありませんか?

ドーマー:ありません。日立の鉄道事業は2018年度の目標として、売上高6400億円、受注高5803億円を掲げています。これまで通り、この目標は変更しません。

 ただ、一つだけ数字に影響を与える可能性があるのは、円高による為替変動のリスクです。その意味で、Brexitに伴う円高が、今のところは目に見える影響と言えるかもしれません。