イタリア北部にある日立レールイタリアのピストイア工場

 買収によるもう一つのメリットは、生産体制を世界に分散できるようになることです。来年からは、日立レールイタリアの工場でも、英国で受注した鉄道車両の生産を始めます。生産体制の負荷が平準化され、さらなる案件獲得が可能になります。生産拠点は米国などにもありますが、生産体制は日英伊を中心に展開していくことになると思います。

英高速鉄道車両も最終調整

 これからの数年は、これまで受注した案件の納入が続きます。1件1件を確実に納めながら、新たな案件の獲得を目指していきます。特に英国では、2017年から英都市間高速鉄道計画(IEP)のサービスが順次始まります。現在は、納品に向け最終調整の段階ですが、トラブルなく納めたいと思います。

 新規案件は、鉄道の需要が今後高まる新興国で積極的に仕掛けたいと考えています。重点地域には既に拠点を置き、現地のマネージャーが結果を出しつつあります。例えばインドでは、2015年12月に貨物専用鉄道向けの信号・通信案件を獲得しました。

9月20日から独ベルリンで始まった「InnoTrans」。日立の展示ブースは過去最大の規模となった

欧州での存在感が高まっている実感はありますか。

ドーマー:着実に高まっていると思います。9月20日からドイツのベルリンで、鉄道技術に関する世界最大の展示会「InnoTrans(イノトランス)」が始まりました。この展示会における日立の注目度はこの10年あまりで大きく変わりました。

 私が日立レールの社員としてこのイベントに初めて参加したのは2004年でした。当時、日立の鉄道事業の存在感は小さく、ブースも同様に本当に小さなものでした。訪れる人もわずかで、本当に寂しかったのを覚えています(笑)。

 あれから12年が経ち、今年のブースは過去最大の広さを確保しました。日立レールヨーロッパのほか、日立レールイタリア、アンサルドSTSなど日立の鉄道事業に関連する企業が揃って一つのブースに出展します。

 ちなみに、今回のブースは、鉄道メーカーのメジャーである独シーメンスの向かい側にあります。彼らと勝負するぞという、隠れた意味も込めています(笑)。大きなチャレンジです。