「ブランドではない」原点守る

 問 ブランドイメージを守る努力を重ねているようですが、そもそも「無印良品はブランドではない」と宣言していましたね。

 答 『結果としてブランド』になっていると考えています。もともと無印良品は1980年、従来のブランドに対するアンチテーゼとして始まりました。セゾングループの西友が80年に無印良品を市場に出したときに西友は商標登録出願していないのです。これってあり得ないですよね。他人から同じブランドの登録出願があれば西友は使えなくなるわけですよね。それほど『無印はブランドではない』という考え方が徹底していたんです。しかしやはり似たような商品が出てきましたので、その後82年に出願しました。今も紙のタグを取ったら商品自体に無印良品というのは一つも付いていないです。我々は『ブランドではない』というところを非常に守っているのです。

 問 国内の価格戦略はどのように考えていますか。

 答 無印良品は『わけあって、安い』というキャッチコピーでスタートしました。無印良品というのはわけがあって、つまり素材の選択、工程の点検とか、包装の簡略化といった合理的な理由で安いという意味です。ですから当社は毎年、全世界で価格を見直しています。

 国内では去年から今年にかけて価格を全体的には下げています。円安になった2015年に、製造コストが上がり値上げをしました。しかしこの春から価格を戻しています。

 問 どれくらいの商品数で、どの程度の価格調整をしているのですか。

 答 衣服でいいますと、今年、全アイテムの約12%ぐらいで価格を見直しています。例えば1990円を1490円、3980円を2990円にといった具合に下げています。衣服では、この下期、1品当たりの価格で約9%下がるぐらいの設計になっています。世の中で衣料品が売れないといわれていますが、その要因として各社が値上げしたことがあると見ています。日常生活で使用頻度が高いものについては、安さを求める消費の傾向があると思います。

 問 海外でも同じような考えで価格を下げていくのですか。

 答 例えば、中国でも現在年に2回は価格の見直しを行っています。理想は世界統一価格です。基本的には、為替の交換レートを適用すれば同じ価格だというようにしたいのです。次の中期計画では40品目で世界統一価格を実現しようと思っています。

 問 中期計画では4年間で連結売上高5割増を目指しています。国内市場でもまだ成長が可能でしょうか。

 答 例えば、靴下についていえば、我々の国内のシェアは1.87%。今後3~5%を狙っていきたい。シェアを取るためにも店舗の大型化で陳列スペースを広げる必要があるのです。

 国内では、100億円以上の売り上げがあるショッピングセンターは、300店弱あるといわれています。我々はそのうち約半分しか店舗を出していないのです。そういう意味ではまだ多くの出店余地があります。国内は年間15~20店舗増やすことを計画しており、まだ安定的に店舗を出して成長できると思っています。

函館に開業した700坪の大型店
傍白

 東京・池袋はいまだに旧セゾングループの街です。駅前にはセブン&アイグループとなった西武百貨店、少し歩くと伊藤忠商事傘下に入ったユニー・ファミリーマートホールディングスがあり、目と鼻の先に良品計画が本社を構えます。グループを率いた堤清二さんの肝いりで始めた無印良品はグループの再建資金を得るために分離されました。

 コンビニも含めて総じて苦戦する国内の流通業界では少数派の勝ち組企業。生活提案型のデザインと価格に徹底したこだわりを見せた清二さんが築いたカルチャーが好調を支えています。大展開を目指す海外向け製品の開発も池袋発にこだわっていくようです。「現地製品は現地開発」の動きが多いなか、興味深い挑戦になります。