業績堅調な小売企業の代表格が国内外で新たな成長に挑む。海外畑からトップに就いて3年目。中国では商品の現地化に乗り出す。「ブランドではないブランド」という個性を急成長の中で維持できるか。
(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)
(日経ビジネス2017年6月26日号より転載)

国内でも大型店に再挑戦して成長を持続できる。
「わけあって、安い」の原点に返り価格引き下げへ。
問 最高益が続いています。どう評価していますか。思った通りに進んだこと、まだ不満に思っていることは何でしょうか。
答 2017年2月期は14期連続の増収、6期連続の増益で、最高益を更新しました。同期を最終年度とする中期計画で目標としていた連結売上高3000億円、海外売上高1000億円、ROE(自己資本利益率)15%以上という数値は、すでに16年2月期に1年前倒しで達成済みです。ただ個別の施策をみると『グローバルで在庫を20%削減する』『EC(電子商取引)の売上高を240億円にし、売上高に占める比率を8%にする』といった目標は、課題が多く残っています。
特にグローバルのサプライチェーンマネジメントは、前の中期計画では全くできなかった。今期からの計画では最優先の目標として掲げています。
問 なぜできなかったのですか。
答 取引先、物流拠点、店舗をつなぐサプライチェーンで、売れ行きに応じてリアルタイムで商品を供給することができませんでした。我々はアイテム数が多く、ペンやスプーンといった細かい品もある。例えば1万本作らないと、原価が十分に下がらないこともあります。適正に在庫を増やそうとしても、売れないものも増えてしまう面があり、難しいのです。私もいけないのですが、担当者らに一時は『欠品をなくさなくては』というプレッシャーがかかったこともありました。17年2月期は在庫金額が700億円を超えてしまいました。
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