大和証券でベンチャー企業のIPO(新規株式公開)を支援する北川勝久・企業公開第二部長のキャリアは異色だ。新卒で住友銀行に入行し、大阪の支店や証券子会社で勤務したのち、ベンチャー企業CFOに転じた。数年後に会社は育ったが、廃業。その後、大和証券に移り、現在はベンチャー企業の発掘から上場までの支援を担当する。ベンチャー企業と証券会社の両面を知る北川氏だからこそできるIPO支援とは。
(聞き手は白井咲貴、島津翔)
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北川さんは、銀行や証券会社を経験したのちベンチャー企業に転じ、その後大和証券でベンチャー企業のIPO(新規株式公開)を担当するという異色の経歴を歩まれています。詳しい経歴は後で伺いますが、まずは現在の仕事について教えてください。
北川勝久・企業公開第二部部長(以下、北川氏):企業公開第二部という部署で、ベンチャー企業の発掘、上場までを支援しています。
2017年に中田誠司社長が大和証券グループ本社社長に就任してから、当社はベンチャー企業のIPOに一層注力するようになりました。上場企業の主幹事の数では、当社は野村証券の半分程度しかない。そして、そこのシェアを取りに行くのは正直、大変です。ですが、IPOを目指すベンチャー企業の伴走者として長期的な関係を築けば、数年後、数十年後に大きなリターンが返ってくる。当社は十数年前に、サイバーエージェントなど複数のITベンチャーの上場を主幹事として担当しました。今、彼らが育ってきています。

最近では、メルカリやラクスルの上場で主幹事を務めました。大和証券はベンチャーに強いと言われていますが、どのようにベンチャーを発掘しているのですか。
北川氏:IT業界などは横のつながりが強いですから、以前担当した企業から紹介してもらうこともあります。
また、部員にそれぞれ主要な新聞や雑誌などを割り振り、毎朝読み合わせをしています。その中に、まだどの部員も声をかけていないベンチャーがあればすぐに連絡してもらいます。他の証券会社が声をかける前に当社がアプローチできれば、印象も良いですから。
VC(ベンチャーキャピタル)からの紹介もあります。当社は、複数のVCに出資しています。それらのVCと普段から協力関係を築くことで、有望なベンチャーなどを紹介してもらうことができるのです。
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