一方で、日本企業にはまだ社会貢献を事業に反映する動きは限定的です。営利企業である限り、収益を出さなければ社会貢献どころではない、というのが経営者の本音ではありませんか。

サックス:そうした声があるのも事実でしょう。サステナビリティーとは言葉どおり、継続を前提とした施策です。ビジネスとして成立することはとても大切です。

 確かに、社会貢献と一体となった施策の場合、利益は従来のビジネスのようにはいかないかもしれません。しかし、ユニリーバやエリクソンのように、さまざまな副次的な効果も見込めます。

社会貢献は儲からない、と立ち止まる前に

例として挙がった企業はグローバル企業として名高く、経営資源も豊富です。多くの日本企業にはまだそこまでの余裕がない、との声が聞こえてきそうです。

サックス:見方を変えて、これをチャンスと考えてみてはどうでしょうか。

 課題解決が企業活動の本質とするなら、SDGsが掲げた17分野は、いずれも企業のビジネスチャンスが眠っている分野と表現することもできます。ロボティクス、高齢化社会に対するサービス、災害や気候変動に強靭な食料提供の仕組み、再生可能エネルギー、次世代型都市計画など、いずれも、21世紀の成長産業と呼べるビジネスです。

 日本企業は、ロボティクス、先端材料、エネルギー効率の良い電化製品など、世界をリードする分野をさまざま有しています。この分野における日本企業主導の技術革新は、必ずやSDG達成に貢献するはずです。

 その意味では、今後は社会貢献と本業のビジネスは別という発想から、社会貢献の中にこそ本業拡大のチャンスがあると発想を変えるべきかもしれません。環境保全や地域社会に貢献するような新しいテクノロジーに対して、積極的に投資すべきだと私は考えます。もちろん、企業のトップがこうした意識を持つことが大切なのは、言うまでもありませんが。

 企業だけでなく、日本政府の力も必要です。今後は、これまで以上に密な連携と協業が必要になるでしょう。日本は二酸化炭素排出ゼロに向けたエネルギーシステム、無公害・自動運転自動車や、持続可能な都市計画などの領域において、世界のリーダーとなれるはずです。

 これらのインフラやシステムは、必ずアフリカの持続可能な発展に貢献すると思います。