SDGsの特徴はどこにありますか?

サックス:ポイントは二つあります。一つは、目標とするゴールが17に増えたことです。MDGsと比較して、社会および環境的側面を包括的に配慮した上、経済成長を果たすためのゴールをより明確にしています。MDGsでは達成できなかった保険や教育などの課題も改めて設定されました。

 もう一つは、MDGsの時から推進してきた企業との関わりをより強化している点です。今ではグローバル化の問題は、国や国際機関だけでは解決できません。今や、一国の国内総生産(GDP)よりも売上高の大きいグローバル企業が無数に存在します。国と企業は、一緒になって社会問題に取り組む必要があります。

社員の士気向上、製品の信頼につながる

 企業にとっても、社会課題に取り組むことは決してマイナスではありません。政府や国際機関との協業や提携を積極的に模索することは、先端科学の知見やBOP(Base of Pyramid)層への新たなアプローチの方法を企業にもたらします。そうした知見や経験が新たなテクノロジーやビジネスモデルの創出につながっていきます。

 化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトなど、「持続性のある経済発展」の実現は市民の理解や賛同が必須です。こうした場面でも連携は有効です。政府や国際機関をはじめ、学術機関や市民セクターなどとの多様な提携関係、パートナーシップは今後さらに重要になってくるでしょう。

 この点を理解したグローバル企業の多くが「サステナビリティー」を経営の中心に据え始めている理由です。率先して取り組むグローバル企業も存在します。

どんな企業でしょうか。

サックス:英蘭ユニリーバや、スウェーデンのエリクソンなどが挙げられるでしょう。両社とも、トップ主導で事業の中核ミッションにSDGsを組み込んでいます。

 ユニリーバは、持続可能な次世代型のサプライチェーンの開発を進めています。エリクソンは、医療、教育、効率的なエネルギー使用の分野において、モバイル技術の新たな活用による情報技術基盤を構築しています。

 デンマークのバイオテクノロジー企業のノボザイムズは、ペダー・ホルク・ニールセンCEO(最高経営責任者)が事業のあらゆる側面にSDGsを反映するよう、全社に号令をかけました。

 いずれの企業も、SDGsに取り組むことが、社員のモチベーション向上、世界各国の市場における信頼、顧客からの高い支持などにつながっています。技術やビジネスモデルのイノベーションにも役立っています。結果的に、グローバル市場でのブランド力も高まりました。

日本企業についてはどう評価していますか。

サックス:MDGsの達成において、日本企業は大きく貢献しました。アフリカ市場向けに住友化学が開発したマラリア防止の蚊帳は、とても有名なケースです。

 SDGsの達成に向けても、個人的には日本企業にとても期待しています。特に、エネルギーやロボティクス、人材教育、ヘルスケアなどの分野における優れた技術や知見を積極的に生かしてほしいと期待しています。

 住友化学の事例によって、他の日本企業が触発され、様々な活動を始めたとも聞きました。多くの日本企業がSDGsを事業のフレームワークの中に取り込み、また成果を共有して、他の企業に広げてほしいと願っています。

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