米アマゾンの成長は、とどまるところを知らない勢いだ。そのアマゾンサイト向けのコンテンツを作成する企業のひとつが米国ワシントン州シアトルのアマゾン本社近くにオフィスを構えるcontent26(コンテンツ26)。同社は企業からの依頼を受け、米アマゾンやウォルマート.comなどECサイト向けに家電や日用品などの商品情報の制作を手がける専門集団だ。サムスン電子をはじめ、ユニ・リーバ、フィリップスなど大手企業を顧客に抱える。10年以上にわたりアマゾンのマーケティングにかかわってきたコンテンツ制作のプロフェッショナルにアマゾンのマーケティング戦略の強さの秘密を聞いた。

 

(取材コーディネート 西本義次=在ニューヨーク、聞き手は日経ビジネス副編集長 村上富美)

アマゾンは成長のカギは商品情報というコンテンツだと気づいた

コンテンツ26はいつからアマゾンのコンテンツ制作に関わっているのですか?

 
米アマゾンなどECサイト向けのコンテンツを製作するコンテンツ26プレジデントのマイク・ホワイト氏
米アマゾンなどECサイト向けのコンテンツを製作するコンテンツ26プレジデントのマイク・ホワイト氏

コンテンツ26プレジデント、マイク・ホワイト氏(以下、ホワイト氏):2004年にアマゾンに依頼を受けました。当時、アマゾンは取り扱う品目を拡大していました。それまでは、本とCDくらいでした。

 3年前の01年、米国では一度、ITバブルが弾けました。そのころのアマゾンは書評を書くためのライターや編集者を雇っていたのですが、バブル崩壊によりレイオフしたのです。その後、事業が持ちなおし、アマゾンはカメラやモノキュラー(単眼鏡)といった機器類、さらには、CPG(コンシュマー・パッケージ・グッズ)と呼ばれるクリームやローションなど日用品も売るようになったのです。

 そこで彼らからうちに声がかかりました。彼らは何千もの商品の名前、例えば、ジョンソンエンドジョンソンのベビー用シャンプーという商品名と、その製品番号がずらりと書かれた一覧表を元に、商品情報を製作するよう依頼してきました。その際、商品情報はどうやって作ったのですか?

ホワイト氏:インターネットで情報を収集して書いていました。内容は見出しと商品の特徴、写真。そんなコンテンツを数千件も作ったのです。

 やがてアマゾンで買い物をする人が増えていきました。2007年には、プラスページというものを作るようになりました。特定の商品について写真やビデオを作り、製品のブランドを作っていくようなページです。

 この時期、アマゾンは、世のあらゆる商品を売っていくことを自分たちのゴールに据え、そのために消費者があらゆる商品を認知できるように、商品の情報を届けていくことが重要だと考えるようになったのです。

 2007年は、ネット業界でグーグルが存在感を増した年でもあります。「検索」がより重要になったわけですが、アマゾンは「検索」においては、コンテンツが大きな意味を持つと気づいたのだと思います。

次ページ 商品情報は、ググるより、まずアマゾンで検索する