「HPのトップになったのは“落とし穴”にはまったようなもの」──。そんな言葉がこぼれるほどタフだった、5年半に及ぶ経営再建の歩みを振り返る。苦い経験から学んだ、「東芝問題」に通じる「3つの教訓」も語った。
(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)
(日経ビジネス2017年6月12日号より転載)

再建には長い時間が必要だった。
会社は小さくなっても、イノベーションは続ける。
毎年、最低でも1回は来日しているそうですね。
ホイットマン:ええ。日本のビジネスは我々にとって極めて重要ですので、顧客やパートナー企業、日本法人の社員と直接会って話すことを大切にしています。日本に来る前はシンガポールに2日間寄って、アジア太平洋地域全体のビジネスレビューもしました。
トップが現場に出て歩くのは大切なことなのでしょうか。
ホイットマン:現場に足を運んで生の情報に触れることは、経営のかじ取りには不可欠です。今もそうですが、(米ネット競売大手)イーベイのトップを務めていたときから、1年の半分は出張に出ていました。ただ当時は、日本にはそれほど来ていませんでした。ライバルの『ヤフオク!』が強すぎて、どうすれば日本で戦えるのか、とうとう分からなかったからです(笑)。
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