部品の内製化が強み

経営判断のスピードですか。

大山:『こういうアイデアがあって、作りたい』という現場の提案があるとします。他の会社だとそのアイデアを課長に伝えて部長の許可をもらってもう一回説明して、となりますよね。その過程で『そんなとがったものを作って売れるのか』とかのクエスチョンが挟まる。よく知らない人にとっては他社との横並びが分かりやすいですからね。

社内を説得するだけで疲れてしまう。

月曜日の定例会議が商品開発のスピードを速める

大山:アイリスでは毎週月曜日に新規商品開発に向けたプレゼンテーション会議を開くのですが、そこでは私をはじめ、開発に関係する役員らのキーマン全員が顔をそろえる。その前で担当者が新しい商品や価格政策だとかを説明する。そして、その場で商品化の是非を決めてしまうのです。

大山社長にぜひ聞きたいと思っていたことがあります。大手の家電メーカーはどうしてうまくいかなくなったのでしょう。

大山:規模を追いかけすぎたと思います。事業部で年間の売上高が200億~300億円のころは強かった。そういう事業部が10、20とできて、足し算すると3兆円、5兆円と。ここまで規模が大きくなってくると、社長は『A社がやっているのに、なぜ、うちはやらないんだ』なんて言い出す。他社を見ながら無理な成長を求め始めるわけです。組織は大きくなり、小回りが利かなくなってしまった。海外に出れば、原価でコテンパンにやられてしまう。

 家電は組み立て産業です。部品を集めてきたら作れるんです。だから当社はできるだけ部品から自分たちでやるようにします。もちろんコンデンサーとかモーターとか汎用品は、自分で作るより買ったほうが品質とコストがいいからやりません。でも、例えば、金型から内製できるプラスチック類は自分たちで作ります。一番かさばって、投資コストがかかるところを自分でやれる。それが当社の強みです。

そこで差がつくわけですね。

大山:私は横並びが家電業界をダメにした原因だと思っています。一般論ですが、大手さんが手掛ける商品には、いらない機能がいっぱいついている。結局のところ、大手さんがやってきたのは、自分たちの技術をベースに作るプロダクトアウトの発想か、量販店のニーズをくみ取るマーケットインの発想だったと思います。

大阪の開発拠点は今、何人くらいですか。

大山:開発、設計、品質管理を中心に70人ほどいます。40代以下の人はほとんどいなくて、50代、60代ばかりです。うちはスカウトはやりませんので、みんな大手からリストラされた人たちです。喜々として働いていますよ。同じものを作っても、出身会社が違うと開発思想が違ってくるのが面白い。いわば、私たちは大手さんのいいとこ取りで家電を開発しているようなものです。

社内でコンペをやっているような感じですか。

大山:そうそう。それだけ、うちしか大手人材の受け皿がなかったのでしょう。今は人が足りなくて、アイデアはあるのに開発が止まっているくらいです。まず年内に100人にして、もっと採用したいと思っています。