大学サイエンスパークはいつから始まったのですか。

:その起源は改革開放を進めるため1979年に設置された経済特区にさかのぼります。当時の特区は輸出の振興が主目的でした。それを中国政府は88年、科学技術の振興に広げ、中関村(北京市)のハイテクパークを設置しました。これは中央政府が管理運営するハイテクパークで、北京大学や清華大学が参加しています。

 ハイテクパークはどんどん拡大していき2015年には10種、842カ所に増えました 。この中の一種として、大学が主体となるものも誕生したわけです。

沖村:大学を主体とするものは2015年時点で94カ所。清華大学が運営するサイエンスパークにはサン・マイクロシステムズやP&Gなどの一流企業が、入居企業に名を連ねています。

ベンチャーを立ち上げ、R&Dをビジネスにつなげる

研究者や学生がベンチャーを立ち上げる動きも加速しているのですか。李克強首相が2014年に「大衆創業、万衆創新(大衆の創業、万人のイノベーション)」を提唱し始めました 。「創業」は起業の意味ですね。

:はい。政府の方針に従って、学生による起業を集中的に支援するインキュベーションセンターが大学サイエンスパークの中に設置されるようになりました。同センターでは、学生が取り組む研究のサポートに始まって、起業の仕方を学べる授業、センター内スペースの無料提供、登記など起業に伴う法手続きの支援、などの便宜を図っています。

大連理工大学の創新創業学院。インキュベーション機能を担う

インキュベーションセンターは資金も提供していますか。

:資金を直接提供することはあまりないようです。ただし銀行や投資家を紹介する機能を持つインキュベーションセンターは数多くあります。

米山:大学発企業の代表例として、北京大学の研究者と学生が起業した方正集団が挙げられます。不動産、病院、電子部品、保険と多様な事業を展開しています。売上高は2014年の時点で約2兆3000憶円に上りました 。

大学別校弁企業の売上高ランキング(2014年)
注:売上高の金額は、OECD 購買力平価により計算されたものである。
出典:中国教育部大学校弁企業統計概要公告を基に作成。
出所:科学技術振興機構

 方正が最初に世に出したのは、IBMパソコンに中国語を入力・表示できるようにするソフトでした。当時のパソコンは英語しか使えなかった。この開発費をためるべく、創業メンバーの研究者と学生は万里の長城で土産物を売ったという逸話が残っています。

 いま注目を集めている半導体メーカーの紫光集団も大学発企業の一つです。