政府は7月27日、新たな「サイバーセキュリティ戦略」を閣議決定した。サイバーセキュリティの目指すべき姿を明示するとともに、今後3年間をにらんだ政策の目標を示した。サイバーセキュリティの目指すべき姿では、参加・連携・協働を重視する。具体的な政策では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの安全を確保すべく「サイバーセキュリティ対処調整センター」を設置すると定めた。

 同戦略の策定で中心的な役割を果たした三角育生内閣審議官に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

我が国の基本的な立場とはどういうものでしょう。

三角:自由、公正かつ安全なサイバー空間を堅持する、です。実は世界ではこの「自由」を巡って議論が二分されています。日本は、政府だけが決めるのではなく産学民などからの多様な参加者で進めるべきとの立場です。他方、安全を確保するためには政府が主権を主張してより関与すべきだと考える国もあります。この二つの意見が対立しており、議論はまとまっていません。

「サイバーセキュリティ戦略」は何を目的としたものですか。

三角育生(みすみ・いくお)
内閣審議官。1987年、東京大学大学院工学系研究科で修士。通商産業省に入省。2004年に東京大学大学院で博士(工学)。2007年、経済産業省商務情報政策局情報セキュリティ政策室長、2012年、内閣官房情報セキュリティセンター内閣参事官、2016年に内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター内閣審議官(写真:新関雅士 以下同)

三角:我が国の基本的な立場を表明すること。サイバー空間の現状と将来像を視野に入れ、我が国の基本的な立場と、目指すべきサイバーセキュリティの在り方を示すものです。サイバーセキュリティ基本法に基づくサイバーセキュリティ戦略は2015年に初めて策定されました。日本年金機構がサイバー攻撃を受け、大量の個人情報が流出した事件を受けて同年9月に閣議決定されました。

 政府はサイバー空間を「無限の価値を生むフロンティア」とみています。持続的に発展し、新しい価値やサービスが次々と創出される。それによって社会が豊かになる。