ロボット時代を生き抜く3つの知識

 これからの時代を生きていくために、私は3つの知識が必要になると思っています。それは「背景知識」「クリエイティビティ」「人間性への深い理解」です。

 背景知識とは、全体像と個々の事象がどうつながっているかを知ることです。例えば、英国のEU(欧州連合)離脱がなぜ起きたか、世界の政治経済の動きの中で把握することに等しいと言えます。

 クリエイティビティとは、文字通り創造性に対する理解です。新しい作品とは、いかに生まれるのか。クリエイターたちの考えに直に触れることで得られます。

 最後の人間性に対する深い理解は、自分とは普段馴染みのないような、専門家の話をいくつも聞き続けることによって得られます。心理学者、神経学者、歴史家など、情報源は広ければ広いほどいいでしょう。

 いずれも共通するのは、高度な専門知識を蓄積するだけではなく、領域横断的で、異分野横断的な知識だということです。これからの時代、一つのアプローチだけで解決できる問題は少ないでしょう。全く違う領域からの視点が課題を解決することがあるかも知れない。新しい知見は人が知識を発信し、交流して初めて生まれるものです。

 そして、自分自身の知識や考えを分かりやすく伝える必要があります。私はここに、パブリック・スピーキングの重要性を感じています。スピーチは単に自分のプレゼンテーションを上達させたい人だけの問題ではなく、これからのロボットとの競争で改めて問い直されるリテラシーなのです。

スピーチに決まったルールはない

スピーチが苦手な人は、どこから始めればいいのでしょうか。

アンダーソン:そういう人には、ぜひ本書『TED TALKS』を手にとっていただければと思います(笑)。1つだけ触れておくと、スピーチの基となる知識やアイデアは、その人自身の経験から生まれたものであるべきだということです。その人が本当に実感していなかったり、心から伝えたいと考えていない場合は、人を動かすことはできません。

 ただし、本書でも述べていますが、スピーチには「こうでなくてはならない」という定められたルールはありません。ですから、本書はあくまでも僕らが蓄積してきた経験に基づく考え方をまとめたものです。

アンダーソンさんの言うパブリック・スピーキング革命は広がっていますか?

アンダーソン:少なくとも、私自身は手応えを感じていますよ。TED Talksのオンラインビデオは既に200カ国以上で視聴されており、100以上の言語に翻訳されています。特に20代の視聴者が多いことが、私にとっては心強い。時代の変化を敏感に感じ取っている人も多いのではないかと感じています。

 「Spread Ideas(価値のあるアイデアを広める)」というTEDのミッションが、より多くの人を刺激し、より多くの新しい知恵を生む原動力になればいいと思っています。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。