ストラディヴァリとは何者か

中澤:ストラディヴァリウスの歴史が分かるようにしたいと思ったんです。

 ストラディヴァリウスは、イタリアの楽器職人アントニオ・ストラディヴァリが1644年に生まれて1737年に亡くなるまでに製作したもので、その総数は1000本ほど。現存するのは600本に満たないと言われています。

 約500年前にヴァイオリンという楽器が生まれて以来、数多くの職人が数多くの作品を作ってきました。その中で、なぜストラディヴァリウスは特別な存在なのか。

 それを知るには1挺、2挺だけではダメなんです。ストラディヴァリがヴァイオリンを作り始めた頃、やがて円熟を迎えた黄金期、そして晩年、それぞれを代表する作品が一堂に会した中から、見えてくるものがある。

 10月9日~15日、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーで開催する「ストラディヴァリウス 300年目のキセキ展」では、21挺のストラディヴァリウスを歴史的視点からひも解いてご覧いただきます。

 アントニオ・ストラディヴァリとはどんな人物だったのか。師匠はどんな人だったのか。時代背景を含めてご紹介します。

 彼はどんな道具を使っていたのか。ストラディヴァリの生まれ故郷であり、ヴァイオリン製作の聖地であるクレモナの工房を会場に再現し、制作過程のライブデモンストレーションを行います。

 人々を魅了する音を生み出す秘密はどこにあるのか。木やニスといった素材なのか、特別な製作技術があったのか。有識者やテクノロジストなどとのセッションでその真実に迫ります。

 そして現存する逸品たちはどんな人たちの手を経て300年の時を過ごしてきたのか。かつてローマ法皇が手にしたもの、誰もが知るあの人が持つもの……一挺一挺のドラマもご紹介します。

盛りだくさんですね。

中澤:逸品たちを見比べる贅沢さ、その稀有な体験をぜひじっくり味わっていただきたいです。卓抜した技術は時とともに磨かれて円熟していき、意匠も驚くほど多様です。宝石が埋め込まれたもの、そしてストラディヴァリの名前が記されたものなどもあります。

 ストラディヴァリが作ったビオラ、チェロ、ギターもやってきます。ビオラは地球上に10本しか存在しません。ギターは5本しかなくて、演奏できるのは1本だけ。大変貴重なものです。

 会場では毎日3回、演奏会が行われます。時を超えた魅惑の音色を存分に楽しんでいただきます。

楽しみです。

「東京ストラディヴァリウス フェスティバル2018」開催に関する記者発表
「東京ストラディヴァリウス フェスティバル2018」開催に関する記者発表

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